唾液腺腫瘍患者への対応
唾液腺腫瘍患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年9月7日
最終更新日:2013年9月7日
(変更日:2013年10月23日) ※
目的
疾患の概要
- 唾液腺は大唾液腺と小唾液腺に分類され、唾液は排出管によって口腔に送られる
- 顎下腺、耳下腺、舌下腺は大唾液腺に該当し、小唾液腺は口腔粘膜に広く存在している
- 耳下腺は顔面神経が分布する面によって深葉と浅葉に分類される
- 耳下腺腫瘍はいずれかの経路で顔面神経と接する部分があり、浸潤性の悪性腫瘍の場合は、腫瘍の浸潤部位に応じた顔面神経麻痺が起こり、麻痺の程度は部分的であることが多い
- 耳下腺良性腫瘍の手術の場合、確実に顔面神経の保存をしながら腫瘍を切除するが、悪性腫瘍の場合は必要に応じ、腫瘍と顔面神経を含めた周囲組織を切除した上で、神経移植を行い、顔面神経の再建を施行する
- 顎下腺良性腫瘍の場合、必要な神経を保存した状態で腫瘍切除を行うが、悪性腫瘍の場合は、浸潤の程度や組織型に応じ、口腔底や神経を含めて切除を施行する
治療
耳下腺良性腫瘍
- 顔面神経を保存しつつ、顔面神経から腫瘍の周囲にある軟部組織を剥離し、腫瘍の周りに耳下腺組織を付着させて切除する
耳下腺悪性腫瘍
- 悪性度の高い癌の場合、顔面神経の保存については考慮せず、十分に周囲組織を含めて切除を施行する
顎下腺良性腫瘍
- 舌神経、舌下神経、顔面神経下顎縁枝、口腔底の保存を行い、腫瘍を顎下腺と共に切除する
顎下腺悪性腫瘍
- 浸潤の程度や組織型に応じ、舌下神経、舌神経、口腔底あるいは下顎骨の切除が必要となる
- 悪性度が高い癌の場合、同時に頸部郭清術を施行する
看護のポイント
- 手術翌日以降は創部の清潔管理を中心に行う
- 筋皮弁、血管柄付き遊離皮弁を使用した再建術を行った場合は血管柄や皮弁を圧迫するような体位や、頸部や創部の圧迫を避けるなど、再建術後の一般的看護を行う
- 退院後、悪性腫瘍の場合は転移、再発の早期発見のために、最低5年程度の定期通院を行うよう指導する
- 耳下腺を広範囲に切除した場合は、食事などで唾液分泌の刺激が加わった際に耳下腺部に発汗が見られる場合がある(フライ症候群)
- フライ症候群は、多くの場合は軽症だが、日常生活上支障となる場合は、手術で改善可能なことを説明する
- 顔面神経切除術後に神経移植を行った場合は、術後、半年~1年後表情筋運動が見られ、約2~3年で神経の再生が進行するので、この間は積極的に顔面表情筋のリハビリテーションを行うよう指導する
- 腫瘍が大きい場合は、良性腫瘍であっても一過性に顔面神経麻痺を起こすことがあるが、神経切除をしていなければ徐々に神経麻痺は回復するため、精神的援助を行う
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