目的
- 酸塩基平行・体内の酸素化・換気状態など、血液ガスの分析結果を読み取り患者の状態を把握するとともに、手術中のケアに役立てる
観察項目
pH
- 基準値:7.35~7.45
- 低値の場合:呼吸性アシドーシス(閉塞性肺疾患・気胸など)、代謝性アシドーシス(ケトアシドーシス・腎不全・ショックなど)
- 高値の場合:呼吸性アルカローシス(過換気症状・敗血症など)、代謝性アルカローシス(嘔吐・原発性高アルドステロン症・低カリウム血症など)
※訂正しました。ご指摘頂いた方、ありがとうございます。(2016年10月21日)
PO2(酸素分圧)
- 基準値:80~100Torr
- 高値の場合:酸素投与
- 低値の場合:呼吸不全、慢性閉塞性肺疾患、肺血栓など
PCO2(二酸化炭素分圧)
- 基準値:35~45Torr
- 高値の場合:呼吸性アシドーシス(閉塞性肺疾患・気胸など)
- 低値の場合:呼吸性アルカローシス(過換気症状・敗血症など)
HCO3-(重炭酸イオン濃度)
- 基準値:22~24mmol/L
- 低値の場合:代謝性アシドーシス(糖尿病・腎不全・ショックなど)
- 高値の場合:代謝性アルカローシス(嘔吐・原発性高アルデステロン症・低カリウム血症など)
※訂正しました。(2016年10月21日)
アセスメント
- pHは血液の酸塩基の指標であり、高ければアルカリ性、低ければ酸性に傾いていることを示している
- PO2は「末梢組織まで十分な酸素が届いているか」を表しており、低値=低酸素血症であれば早急な対応が必要となる
- PCOは、肺の換気状態を表し、呼吸不全および酸塩基平衡を評価することができるが、肺の換気状態が悪いと高値を示し(pHは酸性化)、過剰であれば低値を示す(pHはアルカリ化)
- HCO3-は腎臓の酸塩基平衡の状態を表しているが、高値の場合は酸性に傾き、低値の場合はアルカリ性に傾いていることを示す
注意事項
- 採血はヘパリン全血を使用(ヘパリンをごく少量入れたシリンジで全血を採血する)する
- 室温保存の場合、10分程度でPCO2は0.4Torr低下し、PO2は10~20Torr上昇するため、採血後は速やかな測定が必要となる
- 炎症反応の強い場合や、白血球の多い患者では測定値が大きく変動する場合がある
- すぐに測定できない場合は氷水などで冷却保管するが、長くても30分以内に測定することが望ましい
- 気泡の混入は測定値に影響を与えるため、混入した場合は除去する