発作性上室頻拍(PSVT)患者の治療とケア
発作性上室頻拍(PSVT)患者の治療とケア【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年8月21日
最終更新日:2018年09月16日
(変更日:2018年12月10日) ※
目的
- 発作性上室頻拍(PSVT)患者に適切な治療とケアが行われるよう援助する
治療
- 発作が起きた時に血行動態が安定している場合は、迷走神経刺激法を行い、効果が得られない場合は、ATPやカルシウム拮抗薬の静注を行う
- 頻脈発作(150回/以上)が起きた時に血行動態が不安定な場合は、除細動やカルディオバージョン(50~100J)を状況に応じて施行する
- 徐脈の場合は、高頻度ペーシングやアドレナリン、イソプロテレノール、アトロピンなどの薬剤投与を行う
- 基本的に、血行動態が安定している場合は、治療の緊急度は低いと考えられるが、完全房室ブロックなどがある場合は、たとえ無症状であっても原則として緊急経静脈的ペーシングの適応となるため、検討を行う
迷走神経刺激法
- 迷走神経が何らかの方法によって刺激されることで、房室伝導の抑制作用が起こることを利用した方法であり、頻拍を停止させる効果がある
頸動脈洞圧迫法
- 頸動脈を圧迫することにより、頸動脈圧受容体の刺激を起こし、迷走神経を刺激する
バルサルバ法
- 息を吸った際、そのまま息を止める方法である
- 息を止めることにより、胸腔内圧の上昇が起こり、圧受容体が刺激され、迷走神経も刺激される
顔面浸水
- 洗面器などの容器の中に冷水を入れ、その中に顔をつけた状態で息を止める方法である
- 冷水に顔をつけることにより、三叉神経が刺激され、息を止めることによって迷走神経が刺激される
その他の方法として、深呼吸や嘔吐反射を誘発させる方法がある
観察項目
- 突発的に生じ、突然消失する動悸感の有無
- 意識消失・めまいの有無
- 血圧低下、冷汗、末梢の冷感、乏尿・無尿、意識障害、失神、けいれん、呼吸困難、うっ血性心不全、持続する胸痛など
アセスメント
- 徐脈・頻脈に関わらず、有効な心拍出が保持できなくなった場合には血行動態が不安定となり、様々な自覚症状や他覚症状を示す
- 治療の緊急度の判定は不整脈の種類ではなく、血行動態が安定しているか否で判断される場合が多い
- 不整脈時における血行動態は以下のような症状があれば不安定と判断できる
- 血圧低下・意識障害・冷汗・末梢の冷感・乏尿や無尿
※以上5つはショックの所見 - 失神
- 痙攣
- 持続する胸痛
- 呼吸困難
- うっ血性心不全 など
- 上記所見が無い場合が安定していると判断でき、治療の緊急度は比較的低い
ただし、完全房室ブロックの所見がある場合は、無症状でも緊急経静脈的ペーシング(ペーシングリードを挿入して行う)が必要となる
注意点
- 頸動脈洞圧迫法は、特に高齢者の場合、脳塞栓を起こす危険性がある
本コンテンツの情報は看護師監修のもと、看護師の調査、知見、ページ公開時の情報などに基づき記述されたものですが、正確性や安全性を保証するものでもありません。
実際の治療やケアに際しては、必ず医師などにご確認下さい。
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