急性期心臓リハビリテーションのポイント
急性期心臓リハビリテーションのポイント【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年8月19日
最終更新日:2019年06月03日
(変更日:2019年9月26日) ※
目的
- 急性期心臓リハビリテーションのポイントについて理解を深める
リハビリテーションの概要
- 心臓リハビリテーションを行う時期によって、以下の3つに分類される
- 急性期リハビリテーション:入院後から退院までの経過において行う(一般的に1〜2週間)
- 回復期リハビリテーション:退院後から社会復帰するまでに行う(一般的に2〜3ヶ月)
- 維持期リハビリテーション:社会復帰をしてから、一生涯に渡り行う(生涯を通じた期間)
- 心臓リハビリテーションが適応となる疾患は、狭心症、心不全、急性心筋梗塞、閉塞性動脈硬化症、大血管疾患、心臓手術後(弁膜症手術・バイパス手術など)である
- 急性期心臓リハビリテーションは、患者が入院中から退院に至るまでに行うリハビリテーションのことを指し、早期離床、再発予防、早期退院を目的に医師の指示のもとで安全に行われる
- 急性心筋梗塞の場合、再梗塞や心破裂などの合併症や狭心症、不整脈、心不全な どの命に危険性が高い状況を避けるため、合併症の予防と十分な安静を含む治療が最優先とされる
- 急性期リハビリテーションにおける心リハの目的は、長期安静臥床によって生じる身体的・精神的・社会的な脱調節を予防することである
- 心臓手術後の場合は、脱調節の予防を始め、下肢血流量の増加などによる末梢機能の改善、心肺機能の改善(心拍出量および1回拍出量の増加)、運動療法によるバイパスグラフト開存率の改善(バイパス術後の場合)を目的に行われる
- 長期入院・長期臥床による脱調整とは
- 心拍出量の低下・血圧調整の障害・骨格筋量や筋力の低下・呼吸機能の低下・運動尿力の低下などから、電解質異常、循環血流量・血清タンパク質の減少などを引き起こす
- 心臓手術後の場合は、精神的不安定になることが少なくないため、早期に運動療法を開始し、ADL拡大を行うことが、日常生活や治療に対する意欲の向上にもつながる
- 精神的・社会的脱調整とは
- 経済的損失・情緒不安定やうつ状態・家庭生活や対人生活の不調・社会復帰の不調などをきたす
急性期リハビリテーションの判定および進行基準
心臓術後
- 術後1日目:呼吸理学療法や関節可動域に関する運動から始める
- 術後2日目:合併症が認められなければ、坐位実施可能
- 術後3日目:立位試験の実施
- 術後4日目:30~100m程度の歩行訓練の実施
100~200m程度の歩行負荷が可能となる手術後1週間頃に、運動負荷試験、あるいは心肺運動負荷試験を行い、有酸素運動(運動器具使用)を主軸とした運動療法を開始する
看護のポイント
- 急性期を脱した患者が心臓リハビリテーションを継続するか否かについては、入院中にどのような関わり方をするかが重要である
- 動機付けをしっかりと行い、患者が目的意識を持って安全にリハビリテーションを行うことができるよう指導をすることが大事である
リスク管理
-
- AMIに対する運動負荷については、運動の過負荷が原因で起こる心不全、狭心症状、不整脈発生あるいは脈拍や血圧上昇に伴う心破裂などを引き起こす危険性がある
- リハビリ中は患者の状態(血圧、心拍数、自覚症状、心電図、表情など)や病状に十分注意しながら観察を行う
- 心臓手術後は患者の全身状態や循環動態を十分に把握し、無理せず心臓リハビリを進めていく
患者教育
- 退院後に患者が自己管理をしっかりと行うことができるように日常生活指導、心臓リハビリの重要性と効果、異常時の対処方法、疾患教育、リスクファクター管理などについて十分な説明を行う
コーディネート
- 入院早期の段階から他職種の専門家によるアプローチが必要である
- 理学療法士による運動療法だけではなく、薬剤師による服薬指導、管理栄養士による栄養指導などについて、指導時期の調整を他職種と共に連携を取る必要である
心理・精神的サポート
- 心疾患の患者の多くは入院を余儀なくされている状態であり、入院による環境の変化や病気の苦痛により精神的に不安定な状況にあるため、患者の表情や言動を観察し、安心して入院生活を送れるように精神的サポートを行う
注意点
- 運動療法は、以下のことに注意しながら開始する
- 貧血が認められても、Hgb8g/dL以上で、悪化の兆候が認められないこと
- 発熱が見られず、順調に炎症反応の改善が見られる
- 新たな心房細動や心房粗動がない
- 胸水・心膜液貯留が著しくない
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