ベッド上リハビリ ROM訓練

ベッド上リハビリ ROM訓練【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年9月5日
最終更新日:2019年06月03日
(変更日:2023年11月24日) ※

目的

  • ベッド上でのリハビリテーション(ROM訓練)が、安全・安楽に実施できるよう援助する
  • ベッド上リハビリテーションの意義
    • 早期離床をめざし、関節拘縮や筋力低下を予防する
    • 術後の静脈血栓塞栓症を予防する
    • 関節を自動的または他動的に動かすことで、関節可動域(ragge of motion:ROM)の維持・増大および、動作能力や運動機能の改善を図る

ROM訓練の種類

他動的(パッシブ)

  • 目的とする関節周囲の筋肉の力だけではなく、自重、治療者の人力、おもり、CPMなどの機械力を力源として関節運動を行うこと

自動的(アクティブ)

  • 自らの筋力のみで、目的とする関節周囲の筋肉を使った関節運動を行うこと

介助自動的(アクティブアシスティブ)

みずからの筋力のみで十分な関節運動ができない場合、他の力源を使用して自動運動を介助しながら行うこと

方法

自動的(アクティブ)足関節の場合

  1. 患者のADLや手術部位、安静度などを確認する
  2. 患者にROM訓練の目的と必要性、訓練の内容を説明する
    必要あれば、患者が自身でできるように、訓練の方法を掲示する
  3. ベッド周りの環境を整える
  4. 訓練しやすい服装に着替えてもらう
  5. バイタルサインや全身状態をチェックする
  6. ROM訓練を行う
    1. 足関節の底屈・背屈をゆっくり行う
    2. 午前、午後にわけて1日あたり20回×2セットを目標として行う
  7. バイタルサインや全身状態をチェックする
  8. ベット周囲の環境を日常生活がしやすいように戻しておく

他動的(パッシブ)足関節の場合

  1. 患者のADLや手術部位、安静度などを確認する
  2. 患者にROM訓練の目的と必要性、訓練の内容を説明する
    必要あれば、患者が自身でできるように、訓練の方法を掲示する
  3. ベット周りの環境を整える
  4. 訓練しやすい服装に着替えてもらう
  5. バイタルサインや全身状態をチェックする
  6. 患者に今から始まることを伝え、患者の気持ちを確認し、患者の意欲が出るように促す
  7. ROM訓練(パッシブ)を行う
    1. 患者に力を抜いてもらい、両下肢を伸ばしてもらう
    2. 片手で足関節を持ち、もう一方の手で踵部を握り前腕でつま先を固定する
    3. 患者に声掛けをしながらゆっくり背屈させ、可動域いっぱいまで背屈したら3秒とめ、その後ゆっくり戻す
    4. 足関節を固定していた手をはずしつま先を握る
    5. 患者に声掛けをしながらゆっくり底屈させ、可動域いっぱいまで底屈したら3秒とめ、その後ゆっくり戻す
    6. 以上を午前、午後にわけ20回を2セットゆっくり行う
      一概に同じ回数を行うのではなく、患者の年齢、状態によって、適切な回数を決める
  8. バイタルサインや全身状態をチェックする
  9. ベット周囲の環境を日常生活がしやすいように戻しておく

観察項目

  • 訓練中の患者の様子:疼痛の増強、気分不快、無理をしていないかなど
    • 患者の可動域範囲
    • 麻痺や神経症状の有無
    • バイタルサインの変化
    • 患者の表情、疲労度、筋肉の状況
    • 疼痛の部位や程度
    • ROM訓練中に感じる伸張感(伸びているという感覚)の程度
      ※疼痛を感じるほどの力を加えてはいけない

アセスメント

  • 患者が自らすすんで訓練を受けられるように援助できたか
患者の状態を把握し、可能な限り自立を促す

注意

  • 外傷・骨折・脱臼などの急性期や急性炎症など、運動によって組織破壊が進行したり、治癒過程が障害されたりする可能性がある場合は禁忌となる
  • ROM訓練では筋委縮は予防できず、筋力の増強は望めないことを予め説明しておく
    ※訓練ときくと「やれば早く良くなる」と勘違いして必要以上に訓練を行い、筋疲労をおこしたり安静が守れなかったりする場合がある
  • 術後の床上安静期の場合は術部に影響のない部位や方法によって、可能な限り早期からのROM訓練を行う
  • ROM訓練の強度は伸張感が得られる程度で行い、疼痛が残るような強度で行わない
    骨化性筋炎や関節の破壊につながる恐れがある

 

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