目的
- ベッド上でのリハビリテーション(ROM訓練)が、安全・安楽に実施できるよう援助する
- ベッド上リハビリテーションの意義
- 早期離床をめざし、関節拘縮や筋力低下を予防する
- 術後の静脈血栓塞栓症を予防する
- 関節を自動的または他動的に動かすことで、関節可動域(ragge of motion:ROM)の維持・増大および、動作能力や運動機能の改善を図る
ROM訓練の種類
他動的(パッシブ)
- 目的とする関節周囲の筋肉の力だけではなく、自重、治療者の人力、おもり、CPMなどの機械力を力源として関節運動を行うこと
自動的(アクティブ)
- 自らの筋力のみで、目的とする関節周囲の筋肉を使った関節運動を行うこと
介助自動的(アクティブアシスティブ)
みずからの筋力のみで十分な関節運動ができない場合、他の力源を使用して自動運動を介助しながら行うこと
方法
自動的(アクティブ)足関節の場合
- 患者のADLや手術部位、安静度などを確認する
- 患者にROM訓練の目的と必要性、訓練の内容を説明する
- ベッド周りの環境を整える
- 訓練しやすい服装に着替えてもらう
- バイタルサインや全身状態をチェックする
- ROM訓練を行う
- 足関節の底屈・背屈をゆっくり行う
- 午前、午後にわけて1日あたり20回×2セットを目標として行う
- バイタルサインや全身状態をチェックする
- ベット周囲の環境を日常生活がしやすいように戻しておく
他動的(パッシブ)足関節の場合
- 患者のADLや手術部位、安静度などを確認する
- 患者にROM訓練の目的と必要性、訓練の内容を説明する
- ベット周りの環境を整える
- 訓練しやすい服装に着替えてもらう
- バイタルサインや全身状態をチェックする
- 患者に今から始まることを伝え、患者の気持ちを確認し、患者の意欲が出るように促す
- ROM訓練(パッシブ)を行う
- 患者に力を抜いてもらい、両下肢を伸ばしてもらう
- 片手で足関節を持ち、もう一方の手で踵部を握り前腕でつま先を固定する
- 患者に声掛けをしながらゆっくり背屈させ、可動域いっぱいまで背屈したら3秒とめ、その後ゆっくり戻す
- 足関節を固定していた手をはずしつま先を握る
- 患者に声掛けをしながらゆっくり底屈させ、可動域いっぱいまで底屈したら3秒とめ、その後ゆっくり戻す
- 以上を午前、午後にわけ20回を2セットゆっくり行う
- バイタルサインや全身状態をチェックする
- ベット周囲の環境を日常生活がしやすいように戻しておく
観察項目
- 訓練中の患者の様子:疼痛の増強、気分不快、無理をしていないかなど
- 患者の可動域範囲
- 麻痺や神経症状の有無
- バイタルサインの変化
- 患者の表情、疲労度、筋肉の状況
- 疼痛の部位や程度
- ROM訓練中に感じる伸張感(伸びているという感覚)の程度
※疼痛を感じるほどの力を加えてはいけない
アセスメント
- 患者が自らすすんで訓練を受けられるように援助できたか
注意
- 外傷・骨折・脱臼などの急性期や急性炎症など、運動によって組織破壊が進行したり、治癒過程が障害されたりする可能性がある場合は禁忌となる
- ROM訓練では筋委縮は予防できず、筋力の増強は望めないことを予め説明しておく
※訓練ときくと「やれば早く良くなる」と勘違いして必要以上に訓練を行い、筋疲労をおこしたり安静が守れなかったりする場合がある - 術後の床上安静期の場合は術部に影響のない部位や方法によって、可能な限り早期からのROM訓練を行う
- ROM訓練の強度は伸張感が得られる程度で行い、疼痛が残るような強度で行わない