用語解説
用語の読み
どくたーかー
用語の意味
ドクターカーは、救急処置が必要である重篤な患者のもとに、救急医療に精通した医師や看護師を派遣することを目的とした救急車の一種です。
ベッドサイドモニターなどの医療機器を装備し、通常の救急車には乗ることのない医師を乗せて救急現場に向かう特別な救急車です。そのため、患者収容からすぐに治療に入ることができるため、従来と比べて治療開始までの時間を半減することができます。
ドクターカーにかかわる費用は通常の救急車による緊急搬送と同じ扱いで、一部が患者負担になります。
日本では、1979年から兵庫県西宮市消防局と県立西宮病院が協力して始めたのがドクターカーの始まりになります。通常、救命処置は救急隊とドクターカーが共同で行うのが基本になります。
通常、所轄の救急隊が先に現場に到着するため、救急救命士が携帯電話でドクターカーに同乗した医師と連絡を取りながら、心肺停止患者に限り認められている特定行為である除細動や輸液、気道確保などを、医師の指示のもと行います。
従来のドクターカーのシステムは主に以下の2つになります。
- ランデブー方式:ドクターカーは消防署に存在
救急要請の際に、患者の容態が重篤と判断されれば、まず救急車が現場へ向かいます。もう1の救急車が病院へ急行し、医師を乗せて現場へ向かい、患者の治療に当たる方法です。 - ドッキング方式:ドクターカーは病院に存在
まず消防署の救急車が向かい、患者の救助を行います。患者が重篤と判断された場合、消防署から救命救急センターへ出動要請を行い、救命救急センターのドクターカーが医師を乗せて出場します。消防署の救急車が患者を病院へ搬送する途中でドクターカーとドッキングし、以後の治療を医師に委ねる方式です。
この方法の改良方式として、千葉県船橋市では、連絡を受けた司令部が重傷者と判断した場合は、救急車とともにドクターカーの出動を要請する船橋方式を採用し、救命率の向上につなげています。
2008年の道路交通法の改正により、応急の治療を行う医師を救急の現場まで搬送する車両も緊急自動車として認められるようになったので、医師のみを搬送するドクターカーを置く病院も増えています。