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陽子線治療

陽子線治療【いまさら聞けない看護用語・略語】
公開日:2017年3月14日
最終更新日:2017年3月14日
(変更日:2016年8月5日) ※

用語解説

用語の読み

ようしせんちりょう

用語の意味

陽子線治療とは、がんに対して用いる放射線治療の一種です。放射線にはいくつか種類がありますが、一般の放射線治療で使うX線やガンマ線の代わりに、陽子線を使うのが陽子線治療です。

陽子線は、体の中への浸透力が強いのですが、体内に入ると一定の深さで止まり、それ以上奥へは進まないという特徴があります。この深さは自由に調節することができるため、目的の場所に止めることで余計な照射を防ぐことができます。そして、X線やガンマ線が体の表面近くで多く吸収されてしまうのに対し、陽子線は体内で止まる場所の近くでエネルギーを多く放出します。この特性を活かすのが陽子線治療です。

 

陽子線治療では、以下のようなメリットがあります。

  • がんの病巣にピンポイントに近い精度で照射し、その場所で多くの放射線量を与えるため、がん病巣を集中的に攻撃することができる
  • がんの病巣が、放射線の影響を受けやすい器官の近くにある場合でも比較的安全に照射できる
  • 周囲の正常組織への損傷が少ないため、体への負担や副作用のリスクが少ない
  • 治療中は痛みや熱さが全くない
  • 通院治療が可能である(週3~5回)

 

一方、陽子線治療には以下のようなデメリットもあります。

  • 局所治療なので、がんが全身へ転移しているⅣ期の患者には不適応である
  • 消化管のがんである胃がんや大腸がんは適応外である
  • 保険適応外になり費用が高い(300万近くかかる)

 

陽子線治療は、実際の照射時間は1~2分ですが、体の位置を正確に調節するため、治療時間は15~40分程度かかります。治療期間はがんの種類によって違いますが、長いと約2か月間の治療になります。

2016年2月時点で、陽子線治療ができる施設は全国で11施設存在しています。

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