目次
目的
- 人工呼吸中の体位変換の必要性を理解し、安全に実施できる
- 体位変換前後の観察ができる
人工呼吸中の体位変換の必要性
人工呼吸器装着中の患者の特徴
- 気管内チューブの制約や鎮静のため、自力での体位変換が困難
- 仰臥位での管理時間が長く、重力で背面側の皮膚や肺が圧迫される
- 結果として、褥瘡形成、無気肺、換気血流比不均等のリスクが高くなる
体位変換の必要性
- 褥瘡の予防
- 気道分泌物のドレナージと無気肺の防止
- 換気血流比不均等の改善
体位変換の手順
患者の身の回りの準備をする
- 患者の状態(循環動態、呼吸状態)をアセスメントする
- 必ずモニター監視下で行う
- 人工呼吸器とベッドの位置を調節し、必要に応じてベッド柵を外す
- 挿管チューブのカフや固定をチェックし、必要があれば吸引しておく
- 2名以上のスタッフで実施する
患者の体制を整える
- 患者へ体位変換を行うことを説明する
- 患者の体幹をまっすぐにし、身体を向ける方向のスペースを十分に確保する
- 呼吸器回路や点滴ライン、モニターコードを確認し、体位変換による動作に対応できるゆとりを持たせる
- 抑制を行っている場合は外し、抑制解除中であることを看護師間で情報共有する
側臥位にする
- 体位を変えたい方向(向けたい方向)の患者の腕(上肢)を広げる
- 体位を変えたい方向(向けたい方向)と対側の患者の足を立てる
- 頭部側(人工呼吸器側)の看護師は気管チューブや呼吸器回路を支持し事故抜去を防止する
- 体位を変えたい方向(向けたい方向)の方から、患者の肩と腸骨を支え、頭部側に立つ看護師の合図で、患者をゆっくりと側臥位にする
- このとき、患者の脊椎がまっすぐな状態を保持する(ログロール:丸太のイメージ)
- 人工呼吸器回路やライン類の巻き込みや屈曲がないことを十分に観察する
- 患者の腰部を後方へ引き、体位を安定させる
- 頭部や背面、膝下の枕の位置を調整し、良肢位を保つ
- 褥瘡好発部位(側臥位の場合は肩、腸骨部、大転子部など)の除圧ができていることを確認する
- 体位変換による循環動態や呼吸状態の変化を十分に観察する
患者の体位の最終確認
- 体位変換終了後に以下の項目を観察する
- 体位変換前後で循環動態や呼吸状態に変化はないか
- 挿管チューブの固定や位置にずれがないか
- 人工呼吸器回路やライン類の巻き込み、屈曲、抜去はないか
- 全身の皮膚状態や褥瘡の有無を観察できたか
- 人工呼吸器は正しく設定されているか
- 効果的な除圧、良肢位の保持がされ、患者にとって安楽な姿勢が保たれているか
- 抑制の必要性をアセスメントし、再装着する
- 掛物の調整と、ナースコールやモニター類の位置の調整を行う
アセスメント
- 体位交換の際に一動作ごとに患者への声かけを行ったか
- 人工呼吸器装着患者へのケア 2 清拭のポイントのアセスメント同様に、人工呼吸器の機械の確認や患者の表情、抑制の有無などの確認を行ったか
- 患者に苦痛を与えずに、安楽な体位変換が行えたか