用語解説
用語の読み
たいぼうしき
用語の意味
看護教育課程において一定の科目を履修した看護学生は、看護師のシンボルであるナースキャップを戴くことが出来ます。この儀式を戴帽式と呼び、看護学生は一人ひとりナースキャップを頭に戴き、ナイチンゲール像のキャンドルから灯を受け継ぎます。戴帽式はもともと西洋において修道女が自分の一生を神に身を捧げる誓いをたてる儀式の際に、いばらで作った冠を被っていたことを手本に、ヨーロッパやアメリカの看護師養成所もこのような儀式取り入れたことが始まりです。看護学生はキャップを戴きながら、「病める人々に対して自分に出来ることは何か」「自分はどんな看護師になりたいのか」を問い直し、それぞれの胸に新たな決意を抱きます。真っ白な白衣とナースキャップを身に着けた看護学生が順番にキャンドルの灯を受け継ぎ、ナイチンゲール誓詞を朗読する様子はとても幻想的で、看護学生たちは実際にこの日を迎えられることを待ち望み、日々の学業に励んでいます。
しかし、現在では看護師のシンボルであるナースキャップを着用することは義務付けられてはおらず、戴帽式を行わない看護学校・看護大学あります。ナースキャップの着用の義務付けがされなくなった背景には、2004年の法改正により、男性を看護士、女性を看護婦と呼ぶような性別による呼び名の区別をなくし、「看護師」という呼び名に統一されたことが関係しています。昔から戴帽式では男性看護士もナースキャップを戴きますが、実際に職場でナースキャップを着けるのは女性の看護婦だけで、この状況が職業差別に繋がるおそれがあることとしてこれ以前から問題視されていました。また、白衣に比べるとクリーニングに出す頻度が少なくなりがちなナースキャップはしっかりと糊づけされているため、その糊が原因でさらに細菌繁殖が進み不潔になりやすいという面や、狭いベッドサイドで仕事をする際にナースキャップが点滴や各種のチューブ類にぶつかって危険という面からもナースキャップは不要であるという考え方が今では一般的となりました。
このような時代の流れの中でもなお戴帽式を行う看護学校・看護大学が存在している理由は、戴帽式は単にナースキャップを戴くというだけではなく、近代看護の生みの親であるナイチンゲールの精神を受け継ぐという意味を持つからです。医療の対象は「病める臓器、病める人体ではなく、病める人間、悩める人間である。」というナイチンゲールの精神は、100年以上も経った現在の看護教育の場にもこのような形で深く根ざしていると言えます。また戴帽式を廃止している看護学校・看護大学の中には、ナースキャップを載せる儀式は行わずに、キャンドルの灯だけを受け継ぐ形をとるナーシング・セレモニーを実施しているところもあります。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
戴帽式懐かしい!!
大抵実習に入る前にナースキャップを受け取り看護師になる決意を新たにしますよね。
この行事に欠かせないものと言えば「ナイチンゲール誓詩詞」と「キャンドル」厳かに行われる儀式でしたね。
看護師のシンボルでもあるナースキャップ!!
私が学生の時代にはまだナースキャップが存在していましたが…今は殆んどの病院でキャップなんて付けませんよね。
最近は戴帽式もキャップがない所が圧倒的に多くナーシングセレモニーとか戴灯式という呼び名に代わっている所も多いようです。
これはかえって不衛生だからだとか…。昔はあこがれたが仕事場では本当に邪魔以外の何物でもない!!
戴帽式も時代の流れと主に消滅していくのかもしれません。