用語解説
用語の読み
ほうかつてきしじ
用語の意味
現在、看護師の地位は保健師助産師看護師法(以下「保助看法」といいます)によって法的に定められています。保助看法5条では看護師とは「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」とされています。
ここいう療養上の世話は看護師本来の役割・業務であるため、看護師の判断・責任の範囲で行うことが認められています。ただ、この療養上の世話の対象である患者やじょく婦は必然的に治療の必要性が高い人達となるため、例え療養上の世話であっても看護師は医学的な知識や判断力をもとに患者の対応をしていることになります。次に診療の補助ですが、この範囲には経過観察・異常時の報告の他、医療機器の取り扱い・管理、点滴のミキシング・調節、採血、急変時の気道確保、心臓マッサージなどが入ります。これらの行為は法的には全て医師の指示のもとに行われることになっていますが、実際の医療現場では医師が看護師や患者のそばに常にいるとは限りません。そのため看護師は一つひとつの行為を全て医師の具体的な指示に基づいて行っているのではなく、包括的指示に基づいて行うことになります。
例えば薬剤の内容や使用量は医師が決定しますが、実際にその薬剤の点滴の投与を管理するのは全て看護師の役割です。看護師は医師が出した具体的な指示を患者の予定や状態に合わせて、医学的判断の上妥当な方法で調整して行うことが出来るのです。具体的には「抗菌剤の点滴を朝・夕」という指示が出たとすると、看護師は患者の食事や入浴・検査等との兼ね合いと、抗菌剤を1日2回使用する際に何時間間隔をあけるべきかを正しく判断したうえで、看護師が投与時間を決定することが出来ます。
包括的指示による看護師の診療の補助行為は、既にこれまでも行われてきたという事実があります。ただ包括的指示による看護師の医療行為は、看護師自身の経験年数や能力・知識・技術等に大きく左右されるため、侵襲が大きい医療行為においては十分に安全性が確保できなくなる可能性が出てきます。現在の深刻な医師不足の解消・業務の効率化の為に、このような包括的指示の範囲をさらに具体化するとともに、包括的指示のもとに高度な医療行為(脱水の判断・補正、創部の処置等)を看護判断で実践できる看護師を育成するための議論が活発に行われています。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
医師の指示には包括的指示と具体的指示とがある。
包括とは、「全てひっくるめて」という意味!!
保健師助産師看護師法ではドクターの包括的指示のもとで行う医療行為は診療の補助として定義されている。
具体的な包括的指示は、患者の範囲を限定すること。病態の変化の範囲・指示されたことが解る内容での指示である事。
病態変化等の緊急時にドクターとの連絡を取れること。その際に指示を的確に受けられる体制の整備が整っている事と4つの要件が現在案として示されています。
看護師が直接実施として挙げられる例は、創部ドレーンの処置・疼痛・発熱脱水・便通異常・不眠時の薬剤の使用、人工呼吸器患者のウイニング・気管内挿管・抜管等々
ドクターの包括的指示という名のもとに一定の医療行為が行える…つまりはグレーゾーン!!と言えるでしょう。
今は、認定看護師制度を設ける動きもありますからね…(これで白黒付くのか??)
しかしそれは、新たに看護師が抱えるリスクが増える事を意味し、私的にはこれが上手く浸透していくとは思えないんですがね…。