用語解説
用語の読み
とくていこうい
用語の意味
日本では今、世界的にも類を見ない程のスピードで少子高齢化は進み、その一方で医師不足、医療の地域格差はますます深刻化し、医療崩壊の危機にさらされているという現状にあります。この状況を受けて、これまで認められてきた看護師の業務の範囲を高度化・拡大化することで、今後さらに高まる医療ニーズに十分に対応できるようにしようと、現行の保健師助産師看護師法の改正を検討する動きがみられています。現行の法律では、看護師が行うことが出来る業務は傷病者等の療養上の世話がメインで、診療の補助にあたる医療行為は医師の指示のもとに行われるものとなっていますが、法改正がなされることで一定の条件を満たした特定看護師(仮称)は、これまでは絶対的医療行為として医師のみが行ってきた医療行為の一部を事前に医師が作成したプロトコール(包括的指示)のもとに行うことが出来るようになります。
現場では既に「診療の補助」の範囲として看護師が実践している医療行為も存在するため(いわゆるグレーゾーン)、厚労省は「チーム医療推進のための看護業務検討ワーキンググループ」の会合を重ね、まずは臨床現場で行われている医療行為をA・B1・B2・Cの4つに分類する作業から始めました。
その結果、
A 「手術の執刀、全身麻酔の導入など行為・判断の難易度が著しく高いもの。処方など法律上、診療の補助に含まれないことが明確なもの」
B1 「褥瘡の壊死組織のデブリードマンなど医行為の侵襲性や難易度が高いもの」
B2 「脱水の判断と補正(点滴)など、実施者の裁量性が相対的に高く、高度な判断能力を要する(判断の難易度が高い)もの」
C 「尿道カテーテル挿入、発熱時の解熱剤投与など、行為の難易度、判断の難易度ともに看護師一般が実施可能なもの」
というように分類されました。このうち特定看護師(仮称)が実施可能になる特定行為はB1 ・B2と想定されていて、Aに関しては従来通り医師のみが実施可能な医療行為として続行されることとなります。
特定行為を実施できるようになるためには、
- 5年以上の実務経験がある看護師
- 厚労省が認めた教育機関(大学院修士課程)での専門教育・実習を終了したもの
- 第三者機関によってその知識・能力・技術の確認・評価を受けたもの
という条件を満たす特定看護師(仮称)になる必要があります。
看護師・椿(つばき)の一言コメント
救急救命士が行える特定行為は代表的な物として、AEDを用いた除細動・ルート確保・気道確保・挿管・薬剤投与(認定救急救命士)です。
まぁ、この医療行為ができれば、どんな重症者を受け入れても対応することが出来ますね。
一方…看護師の特定行為と言えば、現在5段階に分類されています。
A…医師のみが行う絶対的医行為・B…特定行為(B1更にB2に分類)・C…一般の医行為・D…医行為検討が必要・E…医行為に該当しない
具体的な特定行為(医療行為)関しては現在まだ検討が続いています。
国も看護協会もいい加減、白黒はっきりさせたいのだろうね。
更には、今後この特定行為の実施者となる能力認証制度の制度化が話し合われている所です。
…看護師のキャリアアップ&仕事が増えるってことね…。