【心電図】とは「心筋の電気的活動の様子を体外から記録するもの」です。難しい言い方に聞こえますが、要は「現在、心臓がどんな動きをしているか」を体外から測定しその波形をみて判断するためのものです。
心電図の波形の見方については専門書に譲ることとして、今回は12誘導心電図のとり方についておさらいしてみます。
【12誘導心電図検査を行う際のチェックポイント】
では、具体的にどんなことに注意すればよいか、ポイントを挙げてみます。
- 12誘導心電計に必要な物品は全て揃っているか
- 周囲に妨害波や交流障害となるとなるものはないか、金属製品は外したか
- 電極を正しく装着したか
- 較正派を記録したか
- 電極クリームのふき取り、必要物品の片付けを行ったか
12誘導心電計に必要な物品は全て揃っているか
まず1.についてです。12誘導心電図を記録するために必要な物品は、
- 12誘導心電計本体
- 胸部電極(一般にはゴム製の吸着式電極)
- 四肢誘導電極(一般にはハサミ式電極)
- 電極用クリーム
- アルコール綿
- ガーゼ
- タオル
- 記録用紙
などです。
また電源を入れる前にアース線が正しく接続されていることも確認します。電極は一般には上述の通りですが、小児の場合は小さいサイズもありますし、痩せている場合は貼付式のものもあります。
周囲に妨害波や交流障害となるとなるものはないか
次の2.についてですが、病棟などで急遽行う場合には特に注意が必要です。
まず電源が入った電気毛布などは必ずコンセントから抜きます。また患者さんが装着している腕時計やネックレスなどの金属製品も、ノイズの原因になりますので必ず外しましょう。
電極を正しく装着したか
次の3.については基本をしっかり押さえることが必要です。一般に病棟などで他のバイタルサインと一緒にモニタリングする心電図モニタは、3枚の貼付式電極を貼るだけですよね。これなら簡単に覚えられそうです。
しかし12誘導の場合、胸部の電極が6つ、四肢の電極が4つあり、それぞれ装着する場所が色分けされています。また電極とコードも正しく接続しなければなりません。
胸部は第4肋間の胸骨右縁から始まり、赤→黄→緑→茶→黒→紫、ですし、
四肢は右手=赤、左手=黄、左足=緑、右足=黒、です。
心電計本体などに貼付例があると思いますので、しっかり覚えておきましょう。
較正派を記録したか
次の4.は結構忘れがちではないでしょうか。較正波とは、心電計が正確に作動しているか、看護はどの程度かを知るために必要なものです。各誘導ごとに、T波とP波の間に1mV=100mmの較正波を記録することを忘れずに行います。
電極クリームのふき取り、必要物品の片付けを行ったか
最後の5.は全ての記録が終了したあとです。患者さんに検査が終了したことを伝え、胸部・四肢の電極を外すとともに、電極クリームを必ずふき取ります。
それから心電計の必要物品もキレイに拭き、元の場所へ戻します。実はこれも結構大事なことで、緊急時にあるべきものがあるべき所にない時、人はパニックになります。
12誘導心電図を記録する時は、患者さんの心臓の状態をみたい時ですので、緊急な場合も多いですね。次に使うことを考え、片付けまでを「検査」と考えましょう。
【電極の貼付が上手くいかない時】
例えば患者さんが痩せていて、四肢の電極が浮いてしまうような場合は、水を含んだガーゼを間に挟むと密着させることが出来ます。
また皮膚が汚れている場合は、アルコール綿で電極の装着位置をふき取ると正しい記録がとりやすくなります。患者さんの体格や体表の状態に合わせた工夫をしましょう。
しかしこれらも、勤務場所によってのやり方があると思います。一度、先輩にじっくりレクチャーしてもらい、自分達で試してみると良いでしょう。
いかがでしたか?今回は看護師技術の基本である「心電図(12誘導心電図)」についておさらいしてみました。通常は検査技師さんなどにお願いできるものですが、緊急時は看護師が行う場合もありますので、基本はしっかり身に着けておきましょう。