【血管造影検査】は、血管性病変や腫瘍の診断を行う上で重要な検査です。動脈への穿刺や造影剤使用などが必要なため、ある程度侵襲が大きな検査ともいえます。ここでは、病棟看護師として必要な、検査前のアセスメント、検査後のケアのポイントなどをおさらいしてみます。
血管造影検査のチェックポイント
看護師が行うべきケアのチェックポイントについてポイントをあげてみます。
- 検査の目的を理解し、患者のリスクを評価したか
- 患者は検査の目的や方法等を理解し、身体面・精神面での準備ができているか
- 緊急時の対応への準備は整っているか
- 検査中、患者や看護師の安全は守られているか
- 検査中・検査後の合併症はないか、終了後の止血は十分に行われているか
患者さんのリスクを把握
患者さんの病態によって、検査のみなのか治療も行うのか、穿刺動脈はどこか、検査や治療に伴う偶発症は何か、これらをしっかり把握します。また薬物アレルギーや出血を起こしやすい素因の有無、炎症や感染症の有無、心不全や腎不全がある場合もリスクとなりますので、これらがどう評価されているかも事前に把握しておきましょう。
患者さんへのサポート
患者は検査の目的や方法等を理解し、身体面・精神面での準備ができているかという点については、主にに患者さんへの指導になります。血管造影は、検査中の灼熱感があること、動くと危険であること、検査後も下肢を伸ばしたままでの安静を強いられることなど、多くの苦痛を伴う検査です。特に排泄もベッド上となるため、事前に床上排泄訓練を行う場合もあります。さらに止血のために固定を行うので、予め除毛が必要な場合もあります。これらを全て把握し、患者さんの身体面だけではなく、精神面でも上手にサポートしていくのも看護師の役割です。
緊急時の対応への準備
検査中の緊急事態に備え、救急カートは常に点検を行い、いつでも使用可能な状態にしておきます。また、検査中は心電図や血圧計などのモニターを装着し、異変があればすぐに知らせるように説明します。
検査中は異物の挿入による感染が問題となりますので、無菌操作が重要なポイントです。また、X線の暴露もありますので、看護師自身も距離・遮蔽・時間を念頭に置き、適切な介助を行います。
検査中・検査後の合併症
検査中は、造影剤による副作用(ショック)・血栓症・血管内膜剥離・血管の穿孔・出血などの偶発症が考えられます。検査後は、検査中の偶発症に加え、穿刺部末梢動脈の循環障害および閉塞・感染などがみられます。これらの兆候が何かを把握し、経時的な観察が必要です。また血管造影室では穿刺部の消毒やガーゼの貼付、枕子や砂嚢による圧迫止血を行ってきます。
造影剤排泄のためのケア
血管造影で使用する造影剤は尿から排泄されますので、どの程度排泄されているかを確認するために、尿比重や尿量を観察します。一般に、造影剤を使用すると浸透圧の関係で尿量は増えますが、尿閉を起こすこともあるので、尿意の確認や下腹部の膨満感などを観察し、場合によっては導尿することもあります。
まとめ
血管造影は検査だけではなく、血管塞栓術や血栓溶解療法などの治療で行う場合もありますね。期待される効果も高いのですが、患者さんにとっては侵襲の大きな検査・治療法となります。
看護師たるもの、基本的なポイントは押さえて、患者さんのケアにあたりたいですね。