髄液検査の介助

髄液検査の介助【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年6月17日
最終更新日:2013年6月17日
(変更日:2020年6月30日) ※

検査の目的

  • 髄液採取による検査(診断・圧測定・髄液排除試験(タップテスト)など)および髄腔内への薬剤投与
  • 採取の過程においても髄液圧や髄液通過障害の有無を調べることができる
腰椎穿刺の禁忌とされる例

  • 閉塞性水頭症・脳腫瘍により頭蓋内圧亢進がある場合 ⇒脳ヘルニアのリスク
  • 抗凝固剤服用、血液疾患など出血傾向のある場合 ⇒脊椎硬膜外血腫のリスク
  • 脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血がある場合 ⇒脳動脈瘤再破裂のリスク
  • 穿刺部付近に感染のある場合 ⇒髄膜炎併発のリスク

必要物品・準備

必要物品

  • 防水シーツ
  • 滅菌ドレープ
  • セッシ、消毒綿球、消毒カップなどの消毒セット
  • キャップ、マスク、滅菌手袋、滅菌ガウン
  • シリンジ
  • 局所麻酔薬
  • 穿刺針(三方活栓付)
  • 注射針(18G)
  • 注射針(23G)
  • 滅菌試験管(検査項目により必要本数を準備する)
  • 圧棒
  • 造影剤
  • 滅菌ガーゼ、絆創膏

準備

  • 侵襲を伴う検査であることを、患者(場合によっては家族やキーパーソン)へ十分説明し了解を得る
  • 事前に検査内容や合併症についても十分に説明し、同意を得る(同意書へのサイン)
  • 検査中も比較的時間がかかり、さらに検査後も臥床での安静が必要となるため、予め排尿・排便を済ませてもらう
  • 室内に清潔野を作成し、必要物品を無菌操作で清潔野へ準備する

方法

  1. 体位の調整
    1. 患者をベッドの端に寄せ、側臥位を取ってもらう
    2. 両膝を深く曲げて腹部に付け、両手で抱えるように患者に説明し、背をエビのように前屈し、腰部脊椎を突出する
    3. 介助者は穿刺時、患者の全面に立ち、患者の膝・首を抱えて腰椎骨間腔を広くする
    4. ヤコビー線(左腸骨節頂点から脊柱に向かって垂直に下した線)により、第3または第4腰椎骨間腔の見当をつけ、患者の肩と骨盤がベッドに垂直になるよう介助する
    5. 体位調整後、ルート類が屈曲し身体の下敷きになっていないか確認し、整理する

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  2. 医師による穿刺部位の消毒
    1. 穿刺部位を露出し、体幹部の下に防水シーツを敷く(シーツの汚染防止)
    2. 術者が穿刺部を消毒し、消毒薬が乾燥するまでの間に、術者はマスク・滅菌手袋・帽子を着用するため、ガウンテクニックの介助をする
  3. 局所麻酔・穿刺の介助
    • 局所麻酔の介助
      1. 滅菌ドレープで患者の身体を覆い、局所麻酔を行う
      2. 術者が無菌操作で麻酔薬を吸引できるよう介助する
      3. 麻酔時およびその前後で、患者の変化を観察する
        麻酔時の観察ポイント ショック症状の有無、呼吸・心停止、意識レベルの変化、けいれんの有無、眠気や悪心・嘔吐の有無、蕁麻疹の有無
    • 穿刺の介助
      1. 穿刺時、介助者が意識状態や痛みの有無などを観察する
        ※穿刺後は必ず、髄液の流出があることを介助者も確認する
      2. 患者は自分では見えない背中で処置をされることで不安になるため、進行状況を適宜説明しながら声掛けを行う
        穿刺時の観察ポイント 意識レベルの変化、バイタルサインの変化、疼痛の有無やレベル、下肢のしびれや放散痛の有無、頭痛、嘔気・嘔吐の有無 など
  4. 医師による髄液採取の介助
    • 圧測定
      1. 穿刺針と圧棒を連結させて、初圧を測定する
      2. 初圧(髄液圧)が高い場合、脳腫瘍、脳血管障害、脳膿瘍、髄膜炎などが疑われる
      3. 場合により、クエッケンシュテット兆候(試験)を行う
        クエッケンシュテット兆候とは 左右の頸静脈を軽く圧迫すると、正常であれば100から300mmH2O程度の上昇がみられるが、くも膜下腔に閉塞があると50mmH2O以下となる
      4. 髄液採取後は、終圧を測定する
    • 髄液採取
      1. 準備してある試験管に髄液を採取する
      2. 採取した髄液は量と性状を確認し、記録する
  5. 安静保持の支援
    • 医師に安静時間を確認し、患者へ安静の必要性を説明する

観察項目

  • 検査前後を通してのバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸状態)の変化
  • 検査中の患者の表情・顔色・下肢のしびれ感の有無
  • 患者の意識レベルの変動、頭痛、悪心・嘔吐の有無
  • 髄液圧(初圧・終圧)の確認、髄液の性状
  • 検査結果の確認(細胞数、成分:糖やタンパクなど)
  • 検査後の穿刺部の観察(髄液漏出や感染兆候の有無)

アセスメント

  • <侵襲を伴う検査であるため、特に麻酔時・穿刺時はバイタルサインの変動に注意し介助できたか
  • 緊急時に対応できるよう、準備ができていたか
  • 無菌状態である髄腔内に針を穿刺するため、厳重な滅菌操作を行っていたか
  • 検査は患者の背部で行われ、恐怖感を生じやすいため 、絶えず声掛けし検査の進行状況を随時説明し不安の緩和に努めていたか
  • 髄液検査の結果、正常値(以下を参照)から逸脱している場合は、その理由について検討する
    • 圧:70~180㎜H2O
    • 色調:無色透明
    • 細胞数:5/mm3以下
    • Cl:118~130Eq/dL
    • タンパク:15~45mg/dL
    • 糖:50~80mg/dL

注意点

  • 検査後は、髄液採取による排液、硬膜穿刺部から軟部組織への髄液漏出による低髄液圧症候群に注意し、安静時は頭位を低く保つよう説明する
  • 低髄液圧症候群の症状(座位・立位などで起こる強い頭痛、嘔気・ふらつき・めまいを伴うこともある)がみられたら、すぐに報告するように説明する
  • 穿刺後1~2時間は水平仰臥位で安静にするよう説明し、患者(場合によっては家族など)からの協力を得る
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