慢性中耳炎患者への対応

慢性中耳炎患者への対応【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月1日
最終更新日:2013年7月1日
(変更日:2015年8月9日) ※

目的

  • 慢性中耳炎患者に適切な看護を行う

疾患の概要

  • 慢性中耳炎は、中耳が慢性的に炎症を起こしており、鼓膜の部分に穿孔がある状態のことを指す
  • 持続もしくは繰り返す膿性耳漏や軽度~中等度の伝音難聴を伴い、耳管の排泄機能に障害があることも多い
  • 慢性的に繰り返す場合、感音難聴や伝音難聴が進行する場合もある
  • 基本的には伝音難聴が認められることが多いが、内耳の障害によって感音難聴を合併することもある
  • 耳小骨連鎖にまで症状が進行すると40dB以上の聴力損失が起こる場合もある

原因

  • 鼓膜の穿孔部分からの感染が慢性化する急性中耳炎からの移行
  • 鼻咽腔の炎症の持続
  • 急性中耳炎もしくは滲出性中耳炎からの移行
  • 全身の抵抗力の低下

治療

  • 保存的治療
    • 鼓室内吸引および洗浄:生理食塩液を人肌程度に温め、耳漏などの吸引と洗浄をその都度行う
    • 局所的な薬剤の使用: 鼓室内吸引あるいは洗浄の終了後、ステロイド入り点耳薬か抗生物質入りの点耳薬もしくはその両方を用いて点耳を行う
    • 抗生物質の内服あるいは点滴投与
    • 全身状態(糖尿病)などのコントロール
    • 鼻咽腔の処置
  • 手術治療
    • 聴力と炎症の改善を目的として鼓室形成術を施行する
    • 耳小骨連鎖などの可動性障害が見られる場合は耳小骨の再建を施行する

観察項目

  • めまい、耳痛、顔面神経麻痺の有無(急性増悪の場合)
  • 耳漏の有無と性状、期間(間欠的か持続的か)
  • 難聴の有無と種類(伝音性か感音性か)
  • 耳鳴の有無

アセスメント

  • 検査結果に対する検討を行っているか
    • 耳鏡検査:鼓膜緊張部の穿孔を認める
    • 聴力検査:軽度から中等度の伝音難聴を認める
    • X線検査:特に小児期からの中耳炎が慢性化している場合は、患側の乳突蜂巣の発育抑制がみられる
  • 耳漏についての問診を行っているか
    • 有無や量と質(粘性・膿性)、持続的か否か、風邪症状がある時や水泳・入浴時に耳漏の増加があるか
  • 小児期の頃からの急性中耳炎の既往について確認しているか

看護のポイント

  • 治療および日常生活における指導を行う
    • 外来の定期通院 耳痛、耳漏、めまいなどの症状出現時は次回受診日を待たずに早めに受診する
    • シャワーや入浴時、耳の中に水が入らないようにする
    • 耳掃除は行わない
    • 気圧の変動が激しい場所に行く場合は必ず医師に確認する
    • 風邪に罹患しないように注意する
    • 点耳薬が処方された場合は必要性と方法についても説明する

手術を行う場合

  • 手術治療が適応の場合、術前に耳の周囲の除毛を施行し、洗髪は数日間できないことを説明する
  • 術当日は全身状態の観察を施行すると共に、術後は嘔気、嘔吐、めまい、出血、耳痛、顔面神経麻痺などの観察を行う
  • 術後の体位は患部の圧迫を避けた体位とする
  • 手術後1日目は引き続き、全身状態の観察を施行し、体温上昇の有無に注意する
  • 術後に発熱が3日以上持続する場合は創部感染や血腫が疑われる
  • 術後7日前後で縫合している部分の抜糸を施行し、耳の中にあるガーゼやタンポンを除去する
  • 洗髪時は耳介部分が濡れないようにテープなどで保護をし、必要時、洗髪の介助を行う

注意点

  • アミノ配糖系薬剤は耳毒性があるため、点耳薬としては使用しない
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