穿刺法
穿刺法【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年7月26日
最終更新日:2018年05月31日
(変更日:2013年10月28日) ※
目的
- 穿刺法の概要やケアのポイントについて理解する
- 穿刺の目的は、以下の通りである
- 体内に貯留した液体・血液・膿・空気などを一時的または持続的に排除する事により、臓器への圧迫除去、症状の緩和、治癒を促進する
- 体内の貯留液・血液・組織の性状の観察や測定、検体採取により、原因疾患や治療方針の病理学的・組織学的診断に用いる
- 検査や治療のために、薬物を注入する
必要物品・準備
必要物品
- 穿刺針
- 注射針(局所麻酔薬を吸う時の18G、麻酔薬を挿入する時の23G)・注射器
- 滅菌手袋(医師にサイズを確認する)
- 滅菌穴あき布、滅菌ガーゼ
- 鑷子
- 延長チューブ、三方活栓
- 消毒薬(ポビドンヨード、チオ塩酸ナトリウム)
- 局所麻酔薬(塩酸プロカイン、塩酸リドカイン)
- 廃液用容器(予測される排液量により、膿盆や排液瓶を準備)
- 固定用絆創膏
- 医療用廃棄物容器
- 検体容器(検査項目に応じて必要な種類・数を準備)
- 処置用シーツ
- バスタオル、枕
- 骨髄穿刺では、上記以外にヘパリンナトリウム、砂嚢を準備
準備
- 穿刺法を行う準備を整える
- 医師からの説明内容の確認
- 患者への、具体的な流れや方法について、患者および家族へ説明する
※比較的長時間の処置であるが中断は難しいため、事前に排尿などを済ませておくよう説明し、了解を得る - 同意書の確認
- 必要物品の準備
- 事前のバイタルサインや全身状態の確認
穿刺法では排液による体液喪失や処置に伴って全身状態の変動を来たしやすいため、処置前のバイタルサインや呼吸状態などの観察も重要となる
- それぞれの穿刺法に適した体位やベッドサイドの環境を整備する
- 長時間にわたり同一体位をとる必要があるため、穿刺部位を確認した上で、出来るだけ安楽な体位がとれるよう調整する
- 胸腔穿刺の場合
- オーバーテーブルにのせた枕を抱え込むように前傾姿勢となり、穿刺側の上肢を拳上して頭の上にのせる
- 腹腔穿刺の場合
- 腰椎穿刺の場合
- ベッドの端で背中が垂直になるよう側臥位をとり、両手で膝を抱えエビのように背中を丸めて腰を後ろへ突き出す
- 骨髄穿刺の場合
- 穿刺部以外はバスタオルで覆うなどし、不要な身体の露出を避けてプライバシーに配慮する
- 穿刺部位が患者に見えると精神的に不安定となる可能性があり、見えないようアイマスクをするなど患者の希望に合わせた配慮をする
- 消毒薬や体液による寝衣・リネン類の汚染を防止するため、穿刺部周囲の下に処置用シーツを敷く
- ベッドサイドの不要なものは整理し処置台を準備し、術野を確保し処置が安全に行えるよう環境整備をする
方法
- 清潔に気を付け、正しい手順で穿刺の介助を行う
- 手洗いをし、術野が不潔ならないよう、寝衣などを固定しておく
- 医師が穿刺部位中心に広範囲な消毒をするため介助する
- 医師に滅菌手袋を渡し装着する
- 清潔操作にて滅菌穴あき布のカバーを渡し、必要物品を清潔操作で渡す
- 局所麻酔薬をダブルチェックし、アンプルをカットして局所麻酔薬を吸ってもらう
※アンプルを斜めに傾けると吸いやすい - 多量に廃液する場合は医師が注射針に延長チューブを接続するので、その端を受け取り、排液瓶などにテープ固定する
- 医師の指示により採取した検体を滅菌スピッツなどに受け取る(清潔操作)
- 穿刺針を抜去後、消毒綿球と滅菌ガーゼを渡し、ガーゼをテープ固定する
- 消毒薬・体液による身体の汚染をタオルで拭き、寝衣を整える
- 上記の処置中は患者の状態が変化しやすく、全身状態に注意しながら介助を行う
- 不安・緊張を抱えやすいため、処置の進行状況を伝え、疼痛・体位による苦痛を確認するなど常に声掛けを行う
- 穿刺時は身体の力を抜き、静かにゆっくり呼吸するよう説明する
- 穿刺部位により起こりうる合併症を予測し、患者の全身状態の変化に注意し、変化がある場合は医師へ報告する
- 穿刺した排液の量と性状を観察し、記録する
胸腔穿刺の場合、穿刺時息を吸うと胸腔内に空気が引き込まれるリスクがあるため、呼吸を止めるタイミングは医師の指示による
- 検査後は確実な止血と医師より安静の指示を確認し、患者に理解・協力を得る
- 確実に止血、体液の漏出を防止するため安静が必要となる
- 患者・家族に、安静の必要性と時間、動いてよい範囲を説明し、協力を得る
- 排泄時の安静とナースコールの必要性について説明する
- 検査後、24時間は激しい運動や入浴は避ける
- 穿刺方法に従った具体的な症状と、症状出現時は看護師へ伝えるよう説明する
- 検査後は速やかに使用した物品を片付け、環境整備を行う
- 患者の体位やテーブル・ナースコールの位置を整え、時計を見える位置に置く
- 使用済みの針・血液・体液で汚染した物品を、マニュアルに沿って安全に処理する
- 検査後に起きやすい合併症を予測し、経時的に患者の状態観察を行う
- 検査直後は血液・体液喪失によりショック症状を起こしやすい
- 検査10分後にはバイタルサイン測定、末梢冷感、チアノーゼ、疼痛の有無などを確認する
- 感染徴候(刺入部の発赤・腫脹・疼痛、発熱など)に注意し、意識状態や神経症状についても継時的な観察を行う
- 穿刺を繰り返し行う場合は電解質やたんぱく質喪失のリスクがある
- 電解質喪失時:意識状態・バイタルサインの変化に注意
- たんぱく質喪失時:浮腫の出現に注意し皮膚保護に努める
観察項目
- 患者の基礎疾患、胸水や腹水の有無と程度、出血傾向の有無
- 全身状態の観察(検査前から検査後にかけての、バイタルサインの変動、患者の訴えや表情、各穿刺部位に応じた観察)
- 感染症やアレルギーの有無の把握
- 排液の量と性状の観察、検査結果の確認(検体の結果、レントゲンやエコーでの排液確認)
- 穿刺部位の観察(出血や血腫、疼痛、排液の性状と漏れ、発赤や腫脹など)
- 医師から患者への説明内容、患者・家族の受け止めの状況
アセスメント
- 患者が安心して検査・治療を受けられるように環境を整たか
- 処置の進行状況を伝える、疼痛や体位による苦痛の確認をするなど最大限の配慮を行っていたか
- 解剖生理学的構造を理解した上で、合併症のリスクを踏まえた状態観察が行えているか
※穿刺によるもの、排液することによる身体への影響で起こりうる症状 - 穿刺による身体へのリスクを把握し、異常時はすぐ対処できるよう準備していたか
- 感染に注意し、清潔操作での介助が行えたか
- 検査結果を確認し、治療の効果について把握できているか
注意点
- 穿刺による血液・体液の喪失によりショック症状を引き起こす場合があるため、常に注意して観察を行い、ショック時にすぐ対応できるよう手順をイメージしておくとよい
- 穿刺方法による穿刺部位の違い、合併症の違いについては、十分理解しておく
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