CVポート埋め込みの介助
CVポート埋め込みの介助【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年8月8日
最終更新日:2018年06月23日
(変更日:2019年9月26日) ※
目的
- CVポート埋め込み術の流れと必要物品、ケアのポイントについて理解し、ケアを行う
CVポートとは
- 完全に皮下へ埋没する中心静脈アクセスポートのことである
- 本体部分を皮下に、カテーテルを静脈に留置する
- 高カロリー輸液や化学療法の輸液路とするため、必要時に専用針で穿刺する
- CVポートのルート挿入部位には鎖骨下静脈、大腿静脈、内頸静脈がある
- 一般的に推奨されているのは鎖骨下静脈である
- メリット:
- 静脈経路の注入がいつでも可能
- カテーテル挿入に起因する感染症のリスクを軽減し、長期留置が可能
- QOLが向上し、外来通院での化学療法が可能
- デメリット:
- 専用穿刺針のコストがかかる
- 管理のための処置を要し、穿刺時の痛みがある
- 異物留置に起因する合併症発生のリスクがあり、カテーテル関連の血流感染が起きた場合は抜去が必要
必要物品・準備
必要物品
- CVポートキット
- 滅菌ガウン、滅菌手袋、滅菌ドレープ、マスク、キャップ
- メス、縫合糸、縫合セット
- 剥離鉗子
- 消毒薬、滅菌ガーゼ、綿球
- ヘパリン、生理食塩液
- 局所麻酔薬
- シリンジ(10ml)、注射針(18G、23G)は必要本数を準備する
- ディスポーザブルエプロン・手袋
準備
- 介助者の装備を整える
- 処置の前後で手洗い・うがいを行う
- 介助者はディスポーザブルの手袋・エプロン・マスク、メディカルキャップを着用する
- 透視下での処置の場合、放射線被曝予防のためX線プロテクターを着用する
- 医師からの説明内容を把握し、患者の理解・協力を得る
- 患者の準備・周囲の環境を整備する
- 同意書上の患者・家族の署名を確認する
- 処置前に排泄を済ませてもらう
- 汚染防止のため処置用シーツを敷き、挿入部位に合わせて着衣をずらす
- 体位は仰臥位で、静脈が怒張しやすいよう頭低位にするとなお良い
- 処置中は腕を動かさないよう説明し、苦痛時の対応について予めサインを決めておく
- 心電図モニター・パルスオキシメーター・血圧計などを装着する
- 必要物品を配置する
- 滅菌四角布を広げた上(滅菌野)に、清潔操作で縫合セット、カテーテルなど必要物品を配置する
方法(鎖骨下穿刺の場合)
- 消毒し、ドレーピングを行う
- 術者の準備をする
- 透視下での処置の場合、放射線被曝予防のためX線プロテクターを着用する
- 実施者は滅菌操作で行うため、滅菌ガウン、メディカルキャップ、滅菌手袋、マスクを着用する(高度バリアプレコーション)
- 穿刺部位・ポート埋め込み部位に局所麻酔を行う
- 医師に無菌的にシリンジと針を渡し、アンプルから麻酔薬を吸ってもらう
※吸いやすいよう、アンプルの角度に注意する
- 鎖骨下静脈を穿刺し、ガイドワイヤーを挿入する
- メスで挿入部の皮膚を1cm切開する
- 透視下にて、ガイドワイヤーに沿わせてダイレーターとシースを挿入する
- カテーテル先端が上大静脈に十分挿入されている事を確認する
- ダイレーターとガイドワイヤーを抜去する
- 前胸部に皮下のポケットを作成し、皮下トンネルを介してカテーテルとポートを接続する
- ポートを皮下ポケットに埋め込み、回転予防のため2か所で縫合固定する
- カテーテルが屈曲しないよう、血液の逆流を確認しておく
- カテーテル穿刺部とポート埋め込み部の皮膚縫合を行う
- X線検査にて、カテーテルの位置や異常がないか確認する
- 術後の患者にCVポート留置中の注意点を説明する
- 入浴時のポート部の保護は不要で、そのままで入浴可能
- ポート埋め込み部に負荷がかかるような激しい運動、肩ひもなどによる圧迫や摩擦は避ける
- 穿刺中は処置ごとに患者に声掛けしながら不安の緩和に努め、状態の観察を行う
カテーテル挿入に伴う以下の合併症に注意する
気胸:穿刺針に空気の逆流がみられる
動脈穿刺
神経損傷:上腕神経損傷、血腫による
反回神経麻痺や横隔神経麻痺のリスクがある
創感染
胸管損傷
空気塞栓:カテーテル挿入時、シースなどから空気が入って起こるが、致命的となるため十分な注意が必要 観察項目
- 患者の基礎疾患、出血傾向の有無
- アレルギーの有無
- バイタルサインの変動、患者の訴え
- 呼吸状態の変動の観察
※呼吸数、呼吸音・リズム、息苦しさ、チアノーゼ、皮下気腫の有無 - 神経症状の有無の観察
※しびれや脱力など - 穿刺部の観察
※出血、腫脹、発赤、血腫の有無 - X線検査、血液検査などの検査結果
アセスメント
- 処置前の患者・医療者の準備は適切に行えたか
- 処置中の患者の苦痛を最小限に留めるよう配慮し、不安の緩和に努めたか
- 処置中~終了後の合併症の出現に注意し、異常の早期発見・対処に努めたか
- 処置は滅菌操作で行われるため適切に介助を行い、感染予防に努めたか
注意点
- ポート埋め込みは小手術であり、一般的な手術部位感染予防策を取る必要がある
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