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急性期の臨床は2ヶ月のみ。自分の臨床経験、これで良かったの?

公開日:2014年5月8日
最終更新日:2014年5月8日
(変更日:2015年4月14日) ※

みのりさん (女性) からのお悩み

26年の看護師人生で急性期の臨床は2ヶ月のみ。
当時はプリセプターがいるわけでもなく新米で意味わからず、怒られてばかりでした。ストレスが重なり辞めてしまいました。

しかし生活がかかっていたので内科病棟のある別の病院に職場をうつし15年勤めました。再婚で別の土地へ移り認知症病棟と現在精神科の療養病棟に勤めています。

最近30代の看護師がもっと看護技術を高めたいと一般科へ転職しました。うらやましく思いました。もっといろんな臨床を経験すれば良かったと後悔していますが50歳のわたしには体力も技量も自信がありません。

この気持ちをどのように自分にいいきかせれば平穏な気持ちになれるのか教えてください。

椿(ツバキ)からの回答

一番大切なのは ”看護師としてどんな仕事がしたいかというビジョン”

看護師・椿(つばき)

みのりさん、こんにちは。椿です。
お悩みへの回答が遅れまして申し訳ありません。

 

みのりさんのお悩みを拝見して思ったこと

まず「もっと自分の”経験”に自信を持ってほしい」ということです。

私の新卒の頃(結構、遠い記憶ですが…)を振り返ると、たしかにプリセプター制度も、今ほどは浸透していなかったように思います。

私も新卒の頃は、本当によく怒られました。しかも、その理由をしっかり教えてくれないんですよねー。

もしかすると聞いていたのかもしれませんが、頭ですんなり理解できるほど、私の頭の中が成長していなかったのだと思います。

多分、今同じことで怒られれば(それもどうかとは思いますが)、きっと「怒られている理由」も分かるのだと思いますけどね。

さて、私自身がみのりさんのご経歴を拝見してスゴイなぁと思うことは、同じ病院に15年も勤務できたことです。

何度も転職を繰り返してスキルアップしていくのも良いことだと思います。しかし、同じ勤務先に長く勤めていけるのも素晴らしいことだと思いますよ。

なにせ、私自身が一番長く務めたのは新卒の頃に入った病院で、およそ6年間でしたので。その倍以上!と考えるだけでも、スゴイことだと思います。

 

では、お悩みの本質を考えてみましょう。

みのりさんは「最近30代の看護師がもっと看護技術を高めたいと一般科へ転職しました。うらやましく思いました。」まずはここがポイントでしょう。

自分が看護師としてどんな仕事をしたいのか、そのためにはどんな経験を積めば良いのか。

これは、看護師になってからではなく、私はむしろ、もっと以前、看護師を目指すころから考えておくことだと思っています。

しかし間違えてほしくないのは、これは常に流動的であるべきだ、ということです。実際に看護師になっていくつかの仕事をするうちに、もっと違うビジョンが見えてくることもよくあります。

ですので「こんな仕事がしたい」と思ったら、具体的に自分がどうすれば良いか、それはいくつになっても常に考えているべきことなのです。

確かに自分のビジョンをもって転職するのは素晴らしいことですよね。でもそれは、本当はいくつになってもやってはいけないことではないのです。

ただ、現実的には「採用側としては少しでも若い方が良い」という壁があるのも事実です。この辺に、みのりさんのジレンマがあるのだと思います。

 

それから「もっといろんな臨床を経験すれば良かったと後悔しています」と書かれていますね。これは確かにそうかもしれません。

「じゃあ具体的にどんな経験がしたかったの?」と聞かれて、答えられるでしょうか。

ここが、今回の1番のポイントだと思います。

確かに「若いからすんなり転職できて良いな」と思うことでしょう。5年前の私が同じ立場にいたら、きっとそう考えたと思います。でも今は違います。

年齢を重ねたからこそできることもある、ということに気付いたからです。

例えば、現在みのりさんが働いている職場は、失礼な言い方かもしれませんが、やはり若い看護師より年配の看護師の方が向いているのではないかと思います。

なぜなら、人としての厚みが違うからです。

人間、何でも若い方が良いというわけではなく、年を重ねればこその歴史もありますし、看護の仕事以外での様々な「経験」もたくさんあるでしょう。

そういった「若い人が持ち合わせていない経験」を、みのりさんの看護師の仕事として生かしていけば良いのではありませんか?

 

「新しい看護技術を磨くことだけ」が、看護師の仕事ではない

私自身はみのりさんの働きぶりを拝見しているわけではありませんので、実際のところは分かりません。

しかし、私の周りの人たちをみると、やはり自分よりも年配の人は、それなりの見識もあり、見習うポイントが多いと思うこともあります(ちなみに私は現在、40歳代前半です)。

みのりさんにも、同じ病院で長く勤めあげた経験、(再婚もされているようですので)身近な人との別れや出会い、新しい土地での生活を始めたことなど、たくさんの経験がありますよね。

上手く言えないのですが、人としての深さというのでしょうか、そういったものを大切にしてほしい、と強く思います。

確かに看護技術を磨くことも大事かもしれませんが、これからのみのりさんは、それよりも(患者さんや同僚などすべての)人との接し方、危険を察知する能力や人に対する観察力、先人の知恵的な部分などを磨いていくのも良いのではないかと思います。

「新しい看護技術を磨くことだけ」が、看護師の仕事ではないと思いますよ。

これからのみのりさんはむしろ、若い人にはなかなか真似できない「みのりさんだからこそできる、本当に患者さんの心に寄り添うような看護」というものを目指しても良いのではないでしょうか。

「餅は餅屋」という諺があります。「その道のことはやはり専門のものが一番であること」という意味です。

しかし裏を返せば、餅屋は餅のプロだが、餅以外のことは素人、とも読めますよね。私は、これからのみのりさんには”みのり流看護”のプロを目指してほしいと思います。

一番大事なのは、みのりさんが”看護師としてどんな仕事がしたいかというビジョン”なのだと思いますよ。

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