看護師の仕事は体力的に大変な仕事。
とある研究データによると、
80%以上の看護師が腰痛を感じており、
およそ4人に1人は勤務中に休憩をいれないと仕事が続かない
という現実がありました。
腰痛はもはや看護師の職業病と言われていますが、今のうちにしっかりケアしておかないと大変なことになりかねません。
今回は看護師の腰痛によるトラブルを紹介しつつ、腰痛が悪化する前に日頃から取り組める対策についてご紹介します!
看護師の腰痛が原因のトラブル
まずは、看護師の世界にありがちなトラブルから。
Aさんのケース
Aさんは脳外科病棟に勤務する5年目の看護師。
新卒の頃から勤続5年、ベテランの域に入ってきました。Aさんの勤務する病院は3次救急病院であり、毎日のように緊急入院の患者さんがきます。
脳外科で緊急ですので、大抵の患者さんは意識レベルが低い。
Aさんたちは毎日のように患者さんの体位変換や清拭で患者さんの身体を動かし、患者さんを車イスへ移送し…という状況でした。
Aさんはもともとスポーツが好きで、看護師になっても休みの日にはジョギングを欠かさず、体力には自信がありましたが、ある頃から、毎日のように身体、特に腰が重く、日課だったジョギングも辛くなってきました。
仕事中も腰の重さは変わらず、それまで日常的だった体位変換などのケアが困難になってきました。
ある日の朝、ベッドから出ようとしたAさんは脚の痺れに気付きました。
とても仕事ができる状態ではなく、休日だったこともあり整形外科を受診しました。結果的には軽い椎間板ヘルニアと診断され、腰のコルセットを使うことになってしまいました。
Aさんは自分の仕事が大好きでしたが、このままではさらに腰を痛めてしまうことにもなりかねないため、およそ半年間休職してなるべく安静にし、ブロック注射などの治療を受けました。
また、同じ腰痛でもBさんのようなケースもあります。
Bさんのケース
Bさんは特別養護老人ホームで働いています。
介護職の人と一緒に、毎日30人ほどのオムツ交換をしており、職場に来て半年ほどで、仕事中に腰痛を感じるようになりました。
Bさんはボディメカニクスに気を付けていたつもりでしたが、ある日の勤務中、あまりに腰痛が辛くなり、ナースステーションのイスから立ち上がれないほどの痛みを感じました。
このままでは仕事に支障が……と焦ったBさんは、腰をかばいながら席から立とうとして、なんとぎっくり腰に!
その日は、そのまま早退することになり、結局、1週間ほどお休みしてしまいました。
しかし、職場は人手不足でBさんの代わりになる人もいない現実を知っていましたから、責任感の強いBさんは仕事に行けないことに悩みました。
やっと仕事に戻っても、また腰を痛めるのではないかと、気が気ではありません。
周りのスタッフもみな腰痛に悩んでいましたし、いろいろなアドバイスもありましたが、Bさんはどうしてもこのまま仕事を続けることが怖くなってしまい、それから2か月ほどで仕事を辞めてしまいました。
腰痛のタイプと原因、具体的な対策
腰痛のタイプと原因
腰痛は、大きくわけて
- 腰そのものが障害を受けて起こるもの
- 内臓疾患などにより起こるもの
- 心因性のもの
などがあります。
今回の例でいえば、AさんBさんともに1の腰そのものが障害を受けて起こるものに該当するでしょうか。
この他、例えば婦人科疾患や腎臓・尿管などに結石があっても腰痛になります。
また、心因性=ストレスによる腰痛は、
ストレスを感じる → 交感神経が緊張状態になる → 腰や肩などの筋肉が緊張する → 余計な力が入り痛みを感じる! → さらにストレスとなって痛みが増す!!
…という悪循環に陥っています。Bさんはストレスによる腰痛もあったかもしれませんね。
では腰痛への対策はどうしているのでしょう?
同じ研究データをみると、
- ボディメカニクス
- とにかく休む
- 腰痛につながるようなケアを一人でやらない
- 定期的に運動する
などがあげられています。
この辺は、看護学校でも習うことですが、看護師の職場はどこも忙しいですし、ついつい忘れてしまいがちなことかもしれません。
おわりに
日頃腰痛対策をしておくことの大切さ
AさんBさんともに、日ごろから腰痛対策をしていたか?というと、そうでもありません。
何となく腰が痛い。
でも看護師なら誰でも腰痛はあるし。
仕事は目の前に山積みだし。
という日々を送っているうちに、
ある日ドーンと大きな痛みがあり、休職や退職をするハメになってしまいました。
看護師の仕事は立ちっぱなし・重いものを持ち上げる・ストレスなど、腰痛の原因となるポイントをいくつも抱えています。
腰痛の原因を知り、日ごろから自分なりの腰痛対策を心がけていないと、仕事を続けることも難しくなってしまいますよね。
仕事中のボディメカニクスやケアを一人でやらないことも大事ですが、風呂上り、寝る前のストレッチで身体の緊張をほぐすだけでも、その日の疲れを癒し、ゆっくり休むことにつながります。
たかが腰痛とは考えず、腰痛が原因で仕事を続けるのが難しい時は、いっそのことしっかりと仕事を休んで治療に専念しましょう。