毎年4月になると、多くの病院はスタッフに1年間の目標を立ててもらいます。
立てる方も大変ですが、評価する方だって大変です。そんな悩ましい、新年度のはじめを飾る一大イベントをどう乗り切るかご紹介します!
目標管理とは?
かの有名なピータードラッカーが提唱した組織のマネジメント手法です。
スタッフが病院や部署の方針に基づいて自己の目標を立案し、その達成度を評価する過程であり、管理者はスタッフの目標を病院へ貢献するものになるよう働きかけを行います。
目標を立てるだけでも大変なのに、病院の方針に基づいて??
あまり難しく考えず、まずは事例をみていきましょう。
実例!「珍」目標
実際にスタッフが挙げた目標をご紹介します。
- 急変時に慌てない
→気持ちはわかるけど、具体性に欠ける! - 残業をしない
→どうしたら残業が減るのかが不明!! - 助手がメッセンジャー業務を抜けなくできる
→もはや自分の目標ですらない!!!
ベテランナースでさえ、このような目標を立てることもあります。
さぁ、ここからどう料理していきましょうか!管理職の腕の見せどころです。
困った目標への対応策
スタッフが目標として挙げてくるものは、たいてい曖昧な内容です。
結果、目標に対する具体策も曖昧となり、評価が難しくなります。
ポイントはズバリ、『それら問題点の具体化』といえるでしょう。
スタッフと一緒に、なぜその目標を立てたのかを確認しながら、部署目標にリンクするよう一緒に考えていきます。
例えば、病棟目標を「連携とコミュニケーションにより、安全な看護を提供する」とします。
事例1: 急変時に慌てない
立案した理由
急変があったときに、スタッフの連携が上手くとれず、連絡漏れからアクシデントが頻発した
これをアレンジすると…
急変時の流れををチームで共有し、連絡漏れによるアクシデントを0件にする
具体策として…
- 研修に参加し伝達講習を行う
- 急変時の各担当の役割と伝達方法を明確化し、カンファレンスで提示する
- チームで月1回のシュミレーションを行う
事例2: 残業をしない
立案した理由
夜勤者への申し送りが30分以上かかるために毎日残業になる
これをアレンジすると…
申し送り時間を15分以内に短縮し、かつ情報伝達に漏れがない
(申し送り時間が短縮されれば結果的に残業がなくなる)
具体策として…
- 申し送りに必要な項目の抽出
- スタッフが共有する申し送りシートの作成
- タイマーの設置
事例3: 助手が抜けなく業務をこなす
立案した理由
助手がメッセンジャー業務をよく忘れて薬の到着が遅れる
これをアレンジすると…
助手業務の明確化と周知により、助手業務の抜けをゼロにする
具体策として…
- 助手と看護師の合同カンファレンスを行い、意見のすり合わせを行う
- 助手リーダーと協力し、助手業務マニュアルを作成する
こんな感じです。
あとはスタッフの経験年数などを考慮し、目標達成のためにはどのような支援が必要か話し合っておきましょう。
目標管理成功のカギは「スタッフの主体性」!
どんなに困った目標でも「こんな目標じゃ部署のためにならないでしょ」とポイしてしまうと、スタッフだってやる気がなくなってしまいます。
目標管理のカギは「スタッフがみずから自分の目標を決めること」です。
やらされた感ではなかなか行動につながらず、成果だって期待できません。
スタッフが挙げた目標をヨイショしつつ、部署目標にリンクするようアレンジしていきましょう!