看護は「私たち看護師の気づきから始まる」と言われています。気づきの感性を高めるのは、テクニックではなく日々の積み重ねです。
生まれて老いて病んで死んでいく人、その方を支えるご家族や知人を含めた本当の安心のためにも、まずは看護師としてのコミュニケーションの核の部分である”気づき”について考えていきましょう。
感じる力、失われていませんか?
豊かな国ほど満たされているから「美味しい、嬉しい、楽しい」という感じ方が一瞬で、持続しないと言われています。小さな幸せに喜びを感じられる国は、意外と生活水準は低かったりします。
看護師は感性豊かに患者の小さな変化に対応するプロですが、豊かな国といわれる日本では、気づかないうちにプロの要件が不足していきているわけです。
患者に対して『自分の家族のように気になり、心配し関心を持つ』。これが気づきです。
看護師の仕事を通じて、気づきには成長できるチャンスがあるのです。その気づきの感性が豊かになると人生も豊かになります。
看護師に必須な気付きの感性を養うトレーニング
感性とはセンス!感性を養うには、良い音楽をきいて、絵画など芸術に触れる機会をもつことが良いと言われますが、忙しい看護師という仕事ではそう時間もないし、お金もかかります。
要するに単調な日常から離れて、ときどき非日常的なことをすれば五感が目覚めてきます。
そこでペンを使った例で、いつでもどこでもできる方法をお伝えします。
1. 視覚を鍛える方法 – ペンに集中してみる
私たちはペンを何年も何回も見てきましたので、ペンはペンと認識しています。日々、情報は無限に入ってきますので、ペンの情報は20%くらいで処理されます。
ペンをじっと見ることだけに集中してみましょう。普段見ているペンでも、
「えっ日本製だったの」
「小さな穴が5個もあいている、色が微妙に違う、ふ~ん」
時々は100%で見つめるといろいろな発見があると思います。
2. 聴覚を鍛える方法 – ペンで書く音だけに集中してみる
紙とこすれ合う音や、質感によって違いを感じます。目を閉じると、より聴こえ方が鋭くなります。
3. 触覚を鍛える – ペンで紙に書く感触に集中してみる
滑らかに書けるのか、圧力の具合などペンと紙の組み合わせや、書く場所で感触が違います。わずかな違いを味わいます。
4. 臭覚を鍛える方法 – ペンの匂いをかいでみる
最初はマジックなどペンに香りがあるものがわかりやすいです。気分が悪くならない程度に匂ってみましょう。
こどものころはマジックをよく使っていたので、懐かしい記憶が蘇ってくるかもしれません。
5. 味覚を鍛える
味覚は食べ物を使うと効果的です。(口にくわえてもいいペンであればいいのですが 笑)
ポイントは1つのものを口にいれたら、1~2分噛み続けて飲み込みます。
本来の食べ物の香りや甘さを感じることができます。目を閉じて食べると食べ物の形まで口の中でよくわかります。
この「ふ~ん、へ~」の反応が良いのです。気持ちが動いている証拠です。ペンにこだわることはありませんので、スキマ時間で気づきのトレーニングを是非やってみてくださいね!