5年に一度のビッグイベント、病院機能評価。
この時期が近付くと、病院中がなんだかドタバタ。「信頼の証」を勝ち取るために、管理者たちが走り回るわけですが、そんな病院機能評価についてご紹介します。
病院機能評価とは
病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動が、適切に実施されているかを評価する仕組みで、認定を受けると認定病院の証明がもらえます。
キャッチフレーズは「信頼の証」。 ←もらえるポスターに書かれています
評価項目は医療環境や社会の変化に応じて数年ごとに改定されるので、前回評価の時と同じ準備では不十分なことも。
評価は5年毎に行われ、病院の機能により以下のように分類されます。
機能種別名 | 種別の説明 |
---|---|
一般病院1 | 日常生活圏域等の比較的狭い地域において 地域医療を支える中小規模病院 |
一般病院2 | 二次医療圏等の比較的広い地域において 急性期医療を支える基幹的病院 |
リハビリテーション病院 | リハビリテーションを担う病院 |
慢性期病院 | 療養病床などにより慢性期医療を担う病院 |
精神科病院 | 精神科医療を担う病院 |
緩和ケア病院 | 緩和ケア病棟もしくはホスピスを有する病院 |
病院機能評価の実際
評価調査者(サーベイヤー)と呼ばれる方が病院を直接訪問にやってきます。訪問は1日で終わりますが、その後結果が発表されるまでは数カ月かかります。
ここでは一般病院1の評価項目をざっくり紹介します。
(公益財団法人 日本医療機能評価機構 病院機能機能種別版評価項目より)
1 患者中心の医療の推進
- 患者の意思を尊重した医療
- 地域への情報発信と連携
- 患者の安全確保に向けた取り組み
- 医療関連感染制御に向けた取り組み
- 継続的質改善のための取り組み
- 療養環境の整備と利便性
2 良質な医療の実践1
- 診療、ケアにおける質と安全の確保
- チーム医療による診療、ケアの実践
3 良質な医療の実践2
- 良質な医療を構成する機能1(薬剤、臨床検査、画像診断、栄養管理、リハビリ)
- 良質な医療を構成する機能2(病理診断、放射線治療、輸血、手術、集中治療、救急)
4 理念達成に向けた組織運営
- 病院組織の運営と管理者、幹部のリーダーシップ
- 人事、労務管理
- 教育、研修
- 経営管理
- 施設、設備管理
- 病院の危機管理:災害、保安、医療事故対応
これらの項目がさらに細分化されているわけですが、見ただけでおなかいっぱいですよね…。
病院全体の取り組みについて評価されますので、一部の部署だけが頑張っていてもダメです。スタッフみんなが共通した目的意識のもと取り組んでいるかも大きなポイントとなります。
病院機能評価のトホホな現実
「マニュアル、作ってあったけど病棟によってバラバラだった!」
「委員会の議事録、どこにしまったっけ!?」
「病棟管理日誌、ここ空白のまんま!誰が出勤だったっけ?」
評価日が近くなると、あちこちでこんな光景が見受けられます。
マニュアルを即席で作成したり規定を設けたりして、足りない部分を慌てて準備しようとするのですが、付け焼刃の対応では必ずボロが出ます。
サーベイヤーの方は時にスタッフにも質問をしますから、いくら管理職がうまく答弁してもスタッフが答えられず沈黙になることも…。
大切なのは日頃からの準備!
機能評価は5年ごとの更新ですが、5年という歳月は人の記憶を薄くさせます。
喉元過ぎればナントカというように、せっかくいろいろ改善方針を打ち出したのに、評価が終われば元通り、そしてまた5年後にバタバタ…これでは、何のための評価かわかりません。
せっかく機能評価を(高いお金を払って)受けるわけですから、合格はしたいもの。
でも、本当の目的は自分たちの病院をより良くするために、第三者の目を借りてダメなところは指摘してもらうことだと思います。
変に取り繕わず、日頃の自分たちを見てもらう機会と肯定的に捉えましょう。
そして指摘された事は風化させず、改善のための取り組みを忘れない!
5年間の準備期間を有効に過ごし、準備万端にして機能評価に臨みたいものですね。