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増え続けている!?看護師のストレスによる摂食障害(過食症)について

公開日:2015年5月15日
最終更新日:2015年5月15日
(変更日:2015年5月15日) ※

看護師になりたいという夢を長年抱き、それを実現させ毎日を送る中で多くのストレスや壁が次々にやってくることは、看護師であれば誰もが感じることではないでしょうか。

看護師を取り巻く環境は困難が多いですが、そこにもやり甲斐を感じますし、だからこそ社会的に評価も高い仕事といえます。

しかし、ここ最近の高齢化する日本の社会から、看護師は不足しているだけでなく、一人一人に求められる仕事量や責任は多く、病院や機関では多くの看護師が難題を突きつけられています。

 

そんな状況の中、増えているのがストレスによる摂食障害・過食症です。

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増え続ける摂食障害の患者は、特に若い女性専門職の方・責任感の強いタイプがなりやすいということで、看護師はまさにその条件に当てはまる方が多いように思えます。

そう考えると、看護師にとって摂食障害はとても身近な問題といえるのではないでしょうか。

 

摂食障害には拒食症と過食症がありますが、今回は、看護師のストレスによる過食症について考えてみたいと思います。

過食症のチェックリスト

まずは、以下のチェックリストをご覧ください。

  1. 食後、満腹なのに、何か物足りない
  2. 食べたいと思うと、我慢できないほど食への執着が強い
  3. 人から見えないところで(自宅など)満足いくほど食べたい or 食べることがある
  4. 人前では小食を演じている
  5. 体重の増減が著しい
  6. 食べた後、その罪悪感に駆られる
  7. 体重の増加を必要以上に気にし、どうにかしなければならない気持ちになる
  8. 食べないときと食べるときの差が激しい
  9. 家に食べ物がないと不安になる
  10. 食べきれないほどの食べ物を一度に買い、それを全て食べようとする
  11. 食べているときは無我夢中になり、全てのストレスから開放される
  12. 食べ放題などのビュッフェでは、いつも食べきれないほどの量をとってしまう傾向にある
  13. 人前ではできる自分で居たいが、それを演じることのストレスが非常に大きい
  14. 生理が不順になった/過食が始まった時期と重なる
  15. 過食と嘔吐はするが、頻度として少なく社会生活も問題ないので安心はしている
  16. 食べたいときに食べられないと精神状態が不安定となる(イライラがおさまらない)
  17. ストレスの解消法は食事に限る
  18. 食べるときは無我夢中で、本気で窒息しかけたことがたびたびある

皆さん、当てはまる項目はありましたか?

個人差があり一概に断定はできませんが、上記項目に、もし一つでも当てはまることがあるようでしたら注意が必要です。摂食障害の可能性や将来発症の危険性があります。

 

看護師の過食症の事例(20代前半 看護師A子さん)

A子さんは20代前半、看護師としての就職で入社と同時に上京し、新生活をスタートさせました。性格は誰もが憧れるようなデキる女性のタイプで、周囲への気配りもよくでき、同僚や先輩ナースからの評判はピカイチでした。

しかし、入社後数ヶ月頃より、暴飲暴食が顕著となり、それは次第にエスカレートしていきました。自分の食費だけでは賄いきれず、社宅の各部屋を回りながら賞味期限切れの食材や余っている食材を調達する様になったのです。

その頃から摂取する量は異常となり、腹部の不快から嘔吐せずにはいられず、嘔吐による腹部不快感の解消を図ることを覚えました。

A子さんの食事量の例(1回の食事)

  • インスタントラーメン3袋
  • 炊飯器で最大量に炊ける白米5号、プラス余りの冷ご飯+α
  • 賞味期限切れの食材(何でも)
  • 電子レンジで冷凍食品を解凍する数分が待てず、冷凍のまま噛んで飲み込む
  • 同僚から集めた余り野菜や食材をすべて鍋に入れ、強火で調理し、ポン酢で胃に流し込む
  • それでも満足できないときには、小麦粉を水で溶き、調理する時間も待たずに胃に流し込む
  • 余裕があれば、小麦粉+水にバター、塩コショウ or 砂糖で味付け(味付けの時間さえ待てないことも頻繁)

A子さんは、平日1~数回、週末は毎週の様に、暴飲暴食→嘔吐→胃を軽くして、また暴飲暴食…といったことを繰り返していました。

食後30分以内に、15分~長いときで1時間、トイレに居座り、シャワーの音で嘔吐時の音を消音しながらひたすら嘔吐。

この様なことを繰り返しながらも、会社では優秀なスタッフ、時に声を枯らしながらいつもの自分を演じていました。(嘔吐を繰り返すことで咽頭粘膜の炎症も見られていた様子)

看護師特有の不規則な生活のため、気付きにくかった

入社半年~一年で、体はボロボロ、足は常に浮腫み、肌は荒れ、髪の毛はいつも乾燥し白髪も見え始めています。

実年齢よりかなり老けてみられていましたが、看護師特有の夜勤と日勤の不規則な生活と忙しい生活環境ということで、見た目がやや疲れている印象であったとしても、摂食障害だとは疑う人はいませんでした。

しかし、社宅内ではA子さんの異常な食欲・大量の食事摂取を繰り返していながらも、体形に変化は無いことから、いよいよ皆が少しずつA子さんの様子に疑問を持つようになりました。

当時、精神科医療で経験のあった看護師が、かつて耳にした各個人のストレスの対処法について例に上げ彼女に話すと、彼女は始めて心の内を話すことになったようです。

その心の内は、
ストレスが想像以上で食べること・飲み込むことでその時だけはすべてを忘れられる
とのことでした。

ストレスの軽減により症状は改善した

その後、A子さんの仕事が落ち着くと同時に症状は改善。彼氏ができたことらから、一人の時間も減り、過食と嘔吐の頻度も減ったようでした。

A子さんの場合、社会生活でのストレスが心身にダメージを与えていましたが、そのストレスの軽減と同時に日常生活の向上プライベートの充実が目に見えていました。

数年後には結婚し、一児を授かりました。

 

看護師の過食症の原因とは?

原因は一つではありませんが、一言で表現するとすれば『ストレス』です。

ストレスの感受性やストレスとなる原因、それらが与える日常生活への影響は様々です。

日頃の小さなストレスの積み重ねにより、原因が特定できないケースもあれば、
身内の死や離婚・恋愛問題など明確な原因・きっかけがあると考えられるケースもあります。

さらに、生活の変化や将来の不安、社会で生き抜いていくことなど、漠然としたことでもストレスとなり、それらがきっかけになるケースも見受けられます。

 

看護師の過食症 解決方法とは?

摂食障害はA子さんのように、専門職の方や責任感の強いタイプに多く見られます。

ストレスを感じないような考え方への転換により、ある程度の対処は可能ですが、本人が頭で十分にわかっていても、歯止めが効かなくなります。

 

ここでは解決方法として、2つの方法を紹介します。

1. 気分転換をする

気分転換として、まったく違う分野に挑戦してみたり、長期的に継続・没頭できるような資格の取得新たな趣味の開始などもオススメといわれています。

職場では上司へ仕事内容の変更の申し出をしたり病棟変更をしてもらうだけでも、それまでとは違う分野で新たな挑戦ができることでしょう。

人により気分転換の方法は異なり、周囲のサポートも異なります。A子さんのように、スキルアップにより社会生活のストレスそのものを軽減することが解決へとつながることもあります。

重要なのは自分の健康を考え、どのような方法がベストか自分を見つめ直してみることです。

2. 一人の時間を減らす

ストレスを感じやすい性格を変えるのは根気のいることです。ならば、いっそストレスを考える時間を無くす、もしくは減らす為の行動をするということが必要です。

メンタル面で落ち込んでいるときこそ、可能な限り人との交流を持ち、自宅での一人の時間を減らすことで、過食と嘔吐の機会を減らすこともできます。友達や趣味など共通の興味を持った仲間と過ごす時間を増やすといいでしょう。

また、自分を大事に想ってくれる仲間の存在は精神的な支えにもなります。時には自分の心の問題を話すことで、気持ちが楽になることもあると思います。

 

おわりに

看護師であっても意外と身近な摂食障害

事例のように、摂食障害は若い女性や医療従事者を初め、専門職従事者の方々に多く、大きな責任感、やらなければならないノルマと自分のスキルのギャップ、人間関係など、どこにでも見受けられるような、ごく日常的な事が原因となることが多いのです。

さらなるスキルアップを求められること、毎年先輩というポジション、増えていく後輩の教育などそれらを楽しめる人もいれば、どうしようもないほどのストレスになる人もいます。

そんな気持ちを隠し、いい自分を無理に演じてしまうことこそ、自分を苦しめる最大の原因なのかもしれません。

自分と周囲を比較したり、優秀な自分像を作り上げることは、私たち看護師という専門職にとって、目標であったり、時には乗り越えなければならない壁だったりします。

この壁を越えていくことは、やり甲斐であると同時にストレスにもなります。是非、このことを頭の隅に入れておきましょう。

できないことをできないと言える勇気、自分の能力と限界を表面化させることも、時には必要です。

看護師という憧れ・夢を職にした以上、この職は人々を助ける職業です。その対象は自分でもあることを、どうか忘れないで下さいね。

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