柏原さん (?) からのお悩み
私は看護師2年目です。
先日、接遇研修がありました。
昨年度の入社時にも接遇の講師による研修が行われました。研修中に講師にいじられるだろうと思っていましたが、やはりいじられました。
だから、昨年の研修からその講師が嫌いでした。そして、今年の研修でもまた同じようにいじられました。
講師が私を馬鹿にしているような気がしてしまい、気分がいい感じて終わることはできず…研修終了時にレポート提出がありましたが、私はそのレポートに文句を書いてしまいました。
研修の接遇内容を説明しますと、”電話は2コール”で取れとか、”従業員は財産”だとか、”態度が悪い”だとか自分にはあまり意味のない内容でした。接遇内容は、今の病棟の人数をみると私には無理があるようにしか思えません!
こんな研修に4時間も費やしました。しかも、2年目のフォローだったにも関わらず、接遇研修の内容は昨年と同じでした!
私の態度は、はむかった対応だったとみなされ、研修後、事務局長に『お前なんかもう知らん』といわれました。師長には『今後どうしたいの?話しましょう』といわれました。
私は病院から奨学金を借りており、”病院で3年間働くこと”が返済しなくてよい条件になります。だから、働かないといけないことはわかっているのですが、今後どうしたいのと聞かれると困ります!
借りがなければやめているのですが、なかなかそういう訳には行かないと思います。仕事はきちんとしているつもりで、今までクレームが出たことはありません。
私はどうしたらよいのでしょうか?また、相談するにはどこに行けばいいのか教えて下さい!とても悩んでいます。
椿(ツバキ)からの回答
看護師の接遇や病院でのホスピタリティについて、一度考えてみてはどうでしょうか。
柏原さん、こんにちは。椿です。
お悩み、拝見しました。
すみません…今回はいつもより椿も毒舌になってます。
研修を受ける側の「態度」も重要
まずは、柏原さんのお悩みの確認からです。
柏原さんは、院内での接遇研修にずいぶん不満をもっていらっしゃいますね。
「研修中にまたいじられるだろうと思っていましたが、やはりいじられました。」
とありますね。実際のシーンを見ているわけではありませんので、何ともいえませんが、講師の方は柏原さんだけを「いじる」のでしょうか。
講師の対応は、柏原さんにとっては良い印象ではなかったとしても、研修の内容を皆に広く伝えるために必要なことではなかったのでしょうか。
どのような状況で、どんないじられ方をされたのかが書かれていないので、何とも言えませんが…
一般的には、公然の場で特定の個人だけを集中攻撃するような人物なら、「接遇」の講師はやっていられないのではないかと思います。
試しに”講師は柏原さんだけをいじった”と仮定して考えると、研修中の柏原さんの受講態度に問題があったのではないかと思います。
例えば、研修中なのに隣の人とおしゃべりをしていたとか、まるっきり聞く態度ではなかったとか…
講師の方だって「皆に接遇について教える」という任務を受けて来ている訳ですから、あまりに態度が悪い人がいれば、任務への妨害とみなし、注意することだってあります。
きちんと聴こうとしている人に対しても、講義の内容が届かなくなってしまいますからね。
「最後のレポートに文句を書いた」という柏原さんの言動をみる限り、「研修を受ける態度ではなかった」のが原因ではないか、と考えてしまいます。
看護師にとっての「接遇」について考えたことがあるか
お悩みの中に
「研修の接遇内容を説明しますと、”電話は2コール”で取れとか、”従業員は財産”だとか、”態度が悪い”だとか自分にはあまり意味のない内容でした。接遇内容は、今の病棟の人数をみると私には無理があるようにしか思えません!
こんな研修に4時間も費やしました。しかも、2年目のフォローだったにも関わらず、接遇研修の内容は昨年と同じでした!」
とありますが、このことについて、柏原さんは「不満」なのですよね?
しかし、どんなに忙しくても患者さんへの「接遇」を大事にする病院ならよくあることですし、私からみると何が不満なのか、ちょっと分かりません。
柏原さんが不満に感じている「研修の接遇内容」ですが、本当に柏原さんにとって意味のない内容だったのでしょうか。もう一度考えてみましょう。
例えば、
- 電話は2コールで取れ
これはある意味当たり前じゃないですかね。
もちろん、忙しくて2コールなんかで取れない時だってよくあります。でも「2コールで取ろうという意識があるかどうか」で、電話の相手への態度が変わるのです。
そもそも病棟へかかってくる電話は、無駄話であることは少ないですよね(中にはあるでしょうけど)。
病院内の人が忙しいのは、どこも同じはず。それにも関わらず「こっちは忙しいんだよ!」という態度で電話に出れば、相手だって嫌な気になります。
そんなことの積み重ねが、相手との関係を悪化させ、人の命を預かる病院という環境にも関わらず、チームワークを悪くさせる原因になるのではありませんか?
- 従業員は財産
”従業員は財産”と思われるだけでも良いではないですか!?
柏原さんは、”代わりなんて、いくらでもいる”歯車の1つで終わりたいですか。
一般企業での話ですが、バブル崩壊後は従業員を人間とも思わない企業は、たくさんありました。少しでも利益を出さなくてはいけない、そのためにどこを削るかといえば、従業員への待遇です。
朝出勤して夜中までの残業しても残業代は無し。売り上げを上げなければ経費は給与から天引き…なんて、今でいう「ブラック企業」は昔からあったのです。
従業員を人間とも思わない企業では、「従業員は財産」なんてこれっぽっちも考えていませんよ。柏原さんはそんなところで働きたいですか?
看護師はサービス業!?
ところで、もう1つ。
「態度が悪い」のは、誰がですか?病院の看護師全員ですか??
講師の方が柏原さんに対して「態度が悪い」と言ったならば、講義の状況もなんとなく想像がつきます。
柏原さんは、「看護師にとって接遇なんて関係ない」と考えていますか?だとしたら、それは大きな間違いです。
そもそも、『看護師はサービス業』だと私は考えています。
看護師が相手にするのは医師やコメディカルだけではありません。もっとも接遇を意識すべきは、患者さんですよね。
患者さんからすれば、病気やケガの治療を受けにきているわけですから、自分にとってやさしいとか、言葉遣いが丁寧だとか、そういった「接遇」がきちんと出来る看護師の方が好きだし信頼してくれると思います。
信頼できる看護師になら、心の内を話すことだってありますし、気持ちが前向きになれば治療意欲だって高まります。
しかし、いつも冷たい態度だとか、常に怒っているような人にケアをされても嬉しくありません。そんな看護師に検温されても萎縮してしまうでしょうし、治療意欲だってどこかに吹き飛んでしまいます。
看護師の「接遇」次第で患者さんの病状も変わることがある
大事なのは、看護師が美人かどうかではなく、”笑顔で接してくれるかどうか”です。
「白衣の天使」とはよく言ったものだと思いますが、「一緒にがんばりましょうね」とか「お大事なさってくださいね」とか笑顔で言われたら、つらい検査や治療だって受ける気になりますよね。
逆に「世話してやってるんだけど、文句ある?」という態度の看護師しかいなければ、それこそ患者は「生きててスイマセン」という感覚になり、出来るはずのことも出来なくなります。
こうした、接遇ができない看護師の態度の積み重ねが、患者の病状を悪化させることだってあるんです。
今回のお悩みは、「接遇」を「自分にはあまり意味のない内容」と考えてしまう考え方に、問題があるような気がします。
患者さんの口コミは、病院経営にとても大事なこと
クレームが来たことはないそうですが、患者さんからクレームが来るようなことがあれば、その病院では働きたくても働けくなるかもしれない、ということを理解して下さい。
看護師にとっての接遇って、普段の忙しさを考えたら、無駄に思えることかもしれません。
でも、患者さんの口コミって、病院経営にはとても大事なことなんですよ。
態度の悪い店員のいる店に、買い物に行きたいと思いますか?逆に、すごく忙しそうに見えるのに、笑顔で接客されたら、その店にはまた行きたくなりませんか。
病院だって同じことです。態度の悪い看護師がいる病院に、入院したいとは思いませんよね。
あなたはどうしたいのですか?
お悩みには「はむかった対応だったとみなされ、事務局長に『お前なんかもう知らん』といわれました」とありますが、事務局長さんの気持ちも分かります。
例えば、その病院が「ホスピタリティ」を大事にする病院なら、そのような態度の看護師は要りません。病院の名前に傷がつきます。
でも、まだ師長さんは『今後どうしたいの話しましょう』と言ってくれるのですよね?
柏原さんは、どうしたいのですか?
- 「奨学金の返済を考え、今の職場を辞めるわけにはいかない」なら、その期間だけでも、長いモノには巻かれていた方が賢明です。
- 「こんな病院、今すぐ辞めてやる!」というなら、止めません。
奨学金については、転職して働きながら少しずつお金を返すという方法もあるはずです。
今後について、椿からのアドバイス
今回、かなり毒舌な椿からのアドバイスは3つです。
1. 今の病院で態度を改めて、あと1年間、働いてみてから転職する
→ 1年間かけて「接遇」が出来るようになれば、事務局長や師長の、柏原さんへの見方も変わるでしょうし、その後も働き続けることができるかもしれません。
2. 自分に優しくない病院はとっとと辞めて転職する
→ でも、その代り、次の転職先では「看護師にとっての接遇」を考えて働くことが条件です。そうすれば、今度はきっと長く働くことができます。
3. 何も変わらず、今の態度を貫く
→ 遅かれ早かれ、肩たたきにあうだろうな、と思います。例えば患者さんと接することが非常に少なくて仕事がつまらないところとか、接遇にすごくウルサイ師長がいる病棟とか。
個人的には1.を選んで欲しいとは思います。
柏原さんはまだ2年目の看護師ですよね?
この先の長い看護師人生を考えると、どこかで考え方や態度は改めなくてはいけません。
それは、早いに越したことは無いと思います。
しかし、お悩みを拝見する限り、柏原さんの気持ち的に、その病院で「やり直す」のは、もしかすると難しいかもしれません。
2.を選ぶのであれば、試しに、転職サイトなどに登録して、エージェントの人に”今回のお悩みと同じこと”を伝え、だから転職したいという意思表示をしてみてください。
それでも柏原さんを雇用してくれる病院があったら、そこでは態度を改め「ホスピタリティ」という意味を考えて行動して欲しいです。
3.の場合、次の転職はちょっと難しいかもしれません。
一般企業でもそうですが、看護師の世界って意外と狭いです。こういったウワサはいつの間にか広がります。
同じ地域にある病院への転職は、ハードルが高くなると思って良いでしょう。ものすごく遠いところなら良いと思いますが…
いかがでしょうか。今回の椿は、かなり毒舌でしたが、医師が「お医者様」だった時代は、とっくの昔に終わっています。
現在は、「病院のホスピタリティ」が重要とされる時代です。その中で看護師という仕事を続けたいなら、看護師側も変わる必要があるのです。
誰に対してもヘラヘラすることと、接遇やホスピタリティは違います。
その辺をきちんと考えられるようになると、看護師の仕事はもっと楽しくなると思いますよ。