紅茶さん (女性) からのお悩み
こんにちは。
私は、4年制大学の看護学科2年生(19歳)です。
私はとてもマイペースなのか、患者さんの身を心から案じたり、患者さんの安全安楽を第一に考えたりすることができないと気づきました。
きっかけは、最近終わった実習で 大きな失敗をしてしまったことです。
幸い大事には至らず、「失敗したことを反省して2度とやらないのであれば大丈夫だ」と指導者さんや教員の方に言われました。
しかし私は、ミスの原因と改善方法を考えて指導者さんや先生に発表しながらも、心の中では「患者さんの安否など私の知ったことか」と無責任なことを思い浮かべていました。
そもそも、私が看護師を志望したきっかけは、自分や自分の大切な人たちの健康を守れるのではないかと考えたことでした。
全く縁のない赤の他人の健康を支援することに、やりがいを感じることができないのです。大学に入学する前にこのことに気付けていれば、他に道が拓けていたのかもしれません。
しかし、今さら退学するのも…という状況です。
このような私でも、看護師として働けるようになるのでしょうか。
椿(ツバキ)からの回答
看護師という仕事の根底について、ちょっと考えてみませんか。
紅茶さん、こんにちは。椿です。
回答が遅くなりすみません。
今回はいつもより、だいぶ辛口になります。
先に申し上げておきますと、気分を害してしまうかも…
もし、すでにこの悩みが解決されていたら、読まない方がいいかもしれません。
紅茶さんのお悩みを拝見し、まず真っ先に考えたのは
「病院勤務はして欲しくないなぁ…」ということです。高齢者施設なども然り。
さらにハッキリ言ってしまうと、人の健康に支援できない人は、看護師として働くべきではないと私は思ってます。それが自分と縁のない他人だとしても、です。
『患者さんの安全安楽を第一に考える』は、看護師の根底
まず、「私はとてもマイペースなのか、患者さんの身を心から案じたり、患者さんの安全安楽を第一に考えたりすることができないと気づきました」とありますよね。
でも、患者さん=全く縁のない赤の他人 の安全安楽を第一に考えることができないのは、マイペースだからというワケではないと思います。マイペースな看護師って世の中にたくさんいると思うんですよね。
もし『マイペースな人=患者さんの安全安楽を第一に考えられない人』だとしたら、世の中の看護師は、かなり多くの”不適合者”を出すことになってしまいます。でも、そんなことないですよね?
マイペースな看護師だって、看護師として仕事をしている以上、その根底は『患者さんの安全安楽が第一』という思いがあるはずです。
恐らく、新人看護師の中には、紅茶さんのように、他人の安全安楽を思いやれない人も多くいると思います。
しかし、それは決してマイペースさが理由ではなく、仕事を覚えること、勉強することで一杯一杯だから、なのではないかと思います。
私自身も、新人の頃はそうでした。まず、自分がいかに早く正確に仕事を覚えられるのか、これが第一の課題であり、患者さんの安全安楽に対して頭が回るようになったのは、2年目くらいだったと思います。
ただし、自分が能動的に考えられるようになったのが2年目なのであって、看護師の仕事の根底には『患者さんの安全安楽がある』ということくらいは、理解していましたよ。
根底に『患者さんの安全安楽』がないと、どうなる?
紅茶さんのお悩みの中に「そもそも私が看護師を志望したきっかけは、自分や自分の大切な人たちの健康を守れるのではないかと考えたことでした」とありますが、看護師を志すきっかけとしては、よくあるものだと思います。
例えば、子どもの頃に大切な人を亡くしたとか、長年に渡って患っているおばあちゃんのお世話がしたいとか。
私も聖人ではないので、「全世界の人たちの健康を守りたい」なんて大それたことは考えていません。私自身が看護師を目指したきっかけも、そこまで大それたものではありませんでした。
しかし看護師として働く以上は少なくとも、目の前にいる『患者さんの安全安楽』は、やはり根底にありました。
そうすることが当たり前だと教わってきましたし、そこに矛盾を感じなかったからです。
例えば、紅茶さんのように「目の前にいる患者さんがどうなろうと、知ったこっちゃない」という考え方をしていると、大きな医療事故を本当に起こしてしまうかもしれません。
例えば、
”麻酔科医が周りに気付かれずに殺人を犯してしまった”
”復讐目的で他の医師を失脚させるために患者さんを死に至らしめた”
これらはテレビドラマの話ではありますが、医師や看護師などの医療従事者は、
ちょっとした気分次第で人の命を左右させてしまうという環境で働いているんです。
でも、そうしない。これが、人としてのモラル(倫理・道徳)ですよね。
どんな仕事の根底も『他人の安全安楽を考える』こと
医療従事者は確かに『患者さん=全くの他人の安全安楽』を考えるべき職業ですが、他人を思いやるということは、それ以外の職業だって一緒です。
例えば、一般企業の会社員だって、ファミレスの店員さんやコンビニの店員さんだって、同じことです。相手に不快感を与える対応をすれば、物は売れませんし、お店にはお客さんが来なくなります。どんな職業だって同じことが言えるんです。
ただ、それが”相手の命に関わるかどうか”という点で医療従事者の課題が大きく見えているだけ。
仕事をして対価やお給料をもらう以上、そこには必ず”相手”がいます。
”物を売るのか”、”サービスを売るのか”で基準が変わってくるとは思いますが、相手に喜んでもらうこと、相手が求めるものを提供することで、世の中は回っているんです。
その場合の”相手”とは、基本的には”全くの他人”であることがほとんどですよね。
紅茶さんの考え方を突き詰めると、看護師以外の職業に就いたとしても、相手を思いやれない人になってしまわないでしょうか。
あなたが『看護師として働きたいのかどうか』が基準になると思いますが、もし”働きたくない”のであれば、今からでも方向転換をしても遅くないと思います。まだ、学生ですからね。
でも、”働きたい”のであれば、考え方を改める必要があります。
まず、『患者さんの安全安楽』を考える前に『人がハッピーになること』を考えてみてはいかがでしょうか。その究極の考え方が『患者さんの安全安楽』にあると思えば良いんです。
まずは、人として当たり前のことから考えてみましょう
例えば、お腹が空いて、ファーストフード店に行ったとします。
空腹を満たすことが第一の目標ですが、店員さんに食べものを投げて提供されれば、嫌な気分になりますよね?お店が汚れているものお腹を壊しそうですし、注文通りのものが来なければ腹が立ちます。異物混入なんて論外です。
それでは、空腹を満たすことはできても、気分よく食べることはできませんよね。
では、店員さんが相手を今よりも良い状況になるためには、どうすれば良いでしょうか。
店内をキレイにする、にこやかな接客をする、注文通りのものを提供する、異物が混入しないように気を付ける…などが考えられると思います。
でも、よく考えると、これって当たり前に行われるべきことだと思いませんか。
看護師の仕事も、突き詰めればこれと同じなんですよね。
そこに医学的根拠があって、患者さんの安全や安楽を考えて医療サービスを提供する。
これが看護師の仕事だと私は思います。
いきなり大それたことを考えると気が遠くなりますが、まずは人としての超・基本的なことから、考えてみてはいかがでしょうか。