らいちさん (?) からのお悩み
椿さん、はじめまして!私は4年目の看護師ですが、転職先の職場のことでとても悩んでいます。
今の職場に至るまでの経緯
私は学校卒業後、御礼奉公のため精神科の病院で3年間働いていました。
その後、精神科だけでは身体面での自分のスキルに不安があり、スキルアップのため転職サイトを通じて急性期病院へ転職しました。
そこでは循環器に配属されましたが、精神科と大きく変わった環境の変化や多忙さ、重症の患者さんを看る緊張と責任の重さ。特に忙しい時期に入職してしまったため、病棟が新卒の方の指導、教育にいっぱいでした。
そんな環境で、病院側から即戦力と期待されていた私は、早い展開で色々任されるプレッシャーに耐えきれず、心身の調子を崩してしまい休職を経て、半年程で退職してしまいました。
退職後、しばらくはなぜもっと頑張れなかったんだろう?なぜ回りの人にもっと気持ちを打ち明けられなかったんだろうと反省と後悔の日々でした。
話と違う勤務内容に愕然!
しかし、いつまでもこのままでは家族にも迷惑がかかってしまうのでなんとかしなければと思 っていた矢先、友人の身内の方が勤めている病院にきてみてはどう?と誘われました。
その病院も急性期ですが、以前の病院ほど救急搬送はなく、残業もほとんどなし、長い目でみれば勉強になるとの話でした。
前職では精神科とのギャップが大きすぎてダメになってしまったこともあり、ここならもう少しゆっくりとケアや勉強ができるのではないか、そして話せる人がいるという安心感もあり入
職しました。
しかし、実際に入職してみると、病棟は深刻な人手不足、連日残業で前職以上に慌ただしい所でした。
何より気になったのは点滴を処方箋なし、ダブルチェックなしで作っていたり、保清が全然できておらず、垢やフケが大量の患者さんが多数おられ、勉強になるどころか根本的にどうかと思うような部分ばかりでした。
更には、モニターのアラームに誰も気がつかなかったことがあったらしいと聞かされ、勉強以前にここで働いてここの色に染まってしまうのがとても怖くなりました。
点滴にしても定期処方のため慣れているナースはわかっているから作れると思うのですが、私のような新人や、もし新卒の方がいた場合何に何を混注するか、とてもわかりにくいため事故の元ではないかと思います。
点滴に限らず業務が慣れている人でないとわかりにくいことばかりです。
こんな状態のため、もしやと思い聞いてみたところ、やはり今まで新卒を採ったことはなく教育体制も確立されていないようでした。
以前の急性期病院が点滴の処方箋とダブルチェックを徹底しており、新卒の教育にも力を入れていたので、余計に今の職場でのやりかたが不安でしかたありません。
よそでの経験が長い人なら基礎がしっかりしており応用も効くと思うのでやっていけるのだとは思いますが、私のように身体面でのスキルアップを目的とする者にとってはここではスキルアップは望めないような気がしてなりません。
同時期に入職された方も既卒で他院での経験があるかたですが、やはりここのやりかたは変だと仰っていました。
この病院でやっていく自信もないが、転職活動にも不安
入職してまだ2週間しか経っていないですが、ここで続けていく自信がないですし、続けていって慣れていってしまっていいのかとても疑問です。
しかし、前職を半年で辞めてしまったこともあり、ここもすぐ辞めてしまうのは今後の就活に響いてしまうのでは…?と不安があります。そもそも2週間で決めつけてしまうのは早いのでしょうか?
長くなってしまいましたが、椿さん、どうかアドバイスしていただけないでしょうか?よろしくお願いします!
椿(ツバキ)からの回答
しっかりと情報収集を行い、なるべく早めに転職すべき
深刻なお悩みを抱えている中、回答が遅れて申し訳ありません。まず、らいちさんの状況を、少し整理してみましょう。
- 精神科の病院で3年間働く
- スキルアップをしたく、転職サイトを通じて急性期病院へ
- 心身の調子を崩し、半年程で退職
- 友人の身内の方が勤めている急性期病院に誘われ入職
- 病棟は深刻な人手不足、連日残業の前職以上の忙しい病院
- そのため、2週間の勤務だが転職を考えている状態
今の病院は、同時期に入職された方が言う通り、変な病院であることは確かだと思います。
まず、「新人教育体制がない」ことはともかく(本来はこれもダメですけど、まあひとまず置いておきましょう)、人手が足りないとか忙しいからといって処方箋が無い、ダブルチェックが無いなど、ないないづくしで医療事故まっしぐらの病院ですね。
もし仮に、医療事故が起こったとしても、黙認されちゃうようないわゆる“ブラック病院”なのではないでしょうか。
らいちさんからのお悩みの文章を、ほんの少し拝見するだけでもそう思うのですから、きっとその現場にいたら、「患者さんのことをなんだと思ってんの!」と私なら叫び出してしまうかもしれません。
それだけ、外からみればブラックな病院であることは確かです。
という前提を踏まえ、今回のらいちさんのお悩みを整理してみましょう。
今回のご相談には大きく2つの問題があると、椿は考えています。
一番の問題は、らいちさんの「情報収集不足」の癖があること
らいちさんの情報収集力に問題があると言ってしまったわけですが、それまでの自分のスキルと、紹介された先の医療機関の状況を良く調べれば、「精神科と大きく変わった環境の変化や多忙さ、重症の患者さんを看る緊張と責任の重さ」は、ある程度の予測が出来たのではないでしょうか。
ましてや、循環器です。例えば、前職が整形外科病棟や眼科病棟だったとか、あるいは急性期でも脳外科専門病院だったような方は、また一から勉強しなおさなければならないような診療科ですよね。
同じ「病棟勤務」でも、世界観がガラッと変わることだってあります。
「特に忙しい時期」だったというのは、単に「時期が悪かった」のかもしれませんが。
2つ目は「どうして?」ではなく「どうすれば良かったか?」を考えたかどうか
椿がもう1つ、大きな問題だと思うのは「しばらくはなぜもっと頑張れなかったんだろう?なぜ回りの人にもっと気持ちを打ち明けられなかったんだろうと反省と後悔の日々」というところです。
ここは「もっとこうすれば良かった」「もっと周りの人に相談すれば良かった」特に「今の自分のスキルでは、急性期の循環器病等では即戦力にはなり得ないので、異動したい」とか「どのような勉強をすれば良いかを相談すべきだった」という、先に進む方向の考え方に転換する必要があったのではないかなと思います。
病院自体が悪かったのでなければ、もしかしたら、他の診療科や外来などであれば、精神科に3年間務めてきたというキャリアを考慮しても、十分にやっていけた可能性があると思いますよ。
つまり、このタイミング(半年間で辞めてしまったとき)で「どうして?」だけを考えてしまい、「どうすれば良かったか?」という振り返りが上手くできなかったところに、今回の問題の根っこがあるように思います。
「家族に迷惑をかけたくない」という気持ちも分かりますが、実はこれも「どんな仕事をしていきたいか」という”自分のための前向きな考え方”とは言えませんよね?
さらに、「友人のツテ」…事前に深入りしづらかったのかもしれませんが、これを“あいまいな情報”にしたままで、次の就職を決めてしまったところが、今回の問題をちょっと複雑にしているのではないかと思います。
転職サイトエージェント選びはあせらずに
ご家族思いのらいちさんが、ご家族の心配を考慮して早く転職先を探したかった気持ちは分からなくもないのですが、友人のツテであったのならばなおさら、情報収集のやり方があったのではないかと思ってしまいます。
ここで、”そもそも論”になって申し訳ありませんが、このようなことになってしまったのは、精神科病院から急性期病院への最初の転職で、らいちさんの「今できるスキル」を知っていながら、そのスキルを活かせない病院を紹介した転職サイトのエージェントにも問題はあると思います。
「紹介すればいいってもんじゃないんだよ!」と声を大にして言いたいです。
ですが、転職サイトエージェントは、なるべく早く良い人材を紹介してお金を得るという仕事なわけですから、こっちの条件なんて聞いているようで聞いていないというところもあります。
複数の会社に登録して、それぞれが出してくる転職先の情報を秤にかけることで、やっといい求人が届く…実際にはそんなところもあります。
このあたりは、いつかまた転職サイトを利用する日のためにも、頭の片隅にでも置いといてくださいね。
今回の椿からのアドバイスは2つです
1. すぐにでもその病院を離れてしまうことをオススメします
正直、そんな病院はとっとと辞めたほうがいいと思います。
ただし、入ってすぐに辞めたとなれば、友人との関係にはヒビが入る可能性は十分あります。ましてや、友人の友人とかではなく、友人の「身内」ですからね。
それでも、こんなところで働けるか!という気持ちが強いなら、いつ自分が医療ミスをしたり、いつ病院が訴えられてらいちさんの経歴に傷がつくかわかりません。
それだけ怖い環境にいるのだという自覚を持ってください。
自分自身の身を守るためには、できるだけ早く離れたほうがいいのではないかと思いますよ。
2. ご友人の顔を立てたいのならば、自分で期限を決め、それを過ぎたら辞める
“椿の直感”ではありますが、ある程度、友人との関係にヒビが入らないのは2年位かなと思います。
したがって、そこまではとりあえず、看護技術をほんの少し磨くことだけを考え、長いものに巻かれておく、という選択肢もあると思います。
病院である以上、とりあえずは採血や、点滴の穿刺とか、数をこなして個人の技術を磨くことくらいはできるのではないかなと思います。
ただし期限を決め、その日が来たら、さっさと辞めてしまいましょう。
辞めるときは、その友人に前もって「〇月〇日で辞めることにした」と いうことは伝えましょう。(その身内にも)
順番としては、自分の師長 → 友人の身内の方 → 友人、と伝えるといいかと思います。
看護師として、次の転職を成功させるポイント
いずれにしても、転職はすべきだと思います。
余程のことがない限りは、今後その病院に長くいたところで良い方向に変わるということは、そう無いかな…と思います。
今の職場に迷惑さえかけなければ、次の就職先のメドをつけてから、辞めたっていいんですよ。
ご家族のため早急に就職したければ、在職中にこっそり転職活動を実行しましょう。
そこで、次の転職活動に移行する前に、行ってほしいことをお伝えします。
- 情報収集はしっかりと
この病院での勤務経験は、らいちさんの看護師人生の汚点になりかねません。
そこで忘れてはならないのが、「転職前の情報収集はしっかりすること」です。
その中で、絶対にゆずれないこと、優先度が低いものこととを自分なりに分類しておいて、複数の病院への情報収集をしっかり行いましょう。
病院見学も十分にやり、選択肢を広く持った上で、本当に「自分に合っている」病院を探すようにしましょう。
面倒かもしれませんが、ここをしっかりやらないと、また同じことを繰り返してしまう可能性大です。
- 自分の希望条件チェックリストを作成しよう
そして、誰か1人の話を鵜呑みにするのではなく、自分にとってはどんな病院が良いのか、チェックリストを作ってみるということです。
たとえば、新人教育体制が充実しているところ。
らいちさんの場合、新人ではなく、中途採用に当たるため、中途採用向けの教育体制が充実しているところ、といったほうが正しいかもしれませんね。
また、自分のスキルでも働けそうな部署、もっとスキルアップにつながる部署、両方備えてい るところや、自宅から通えるところ、知人がいるところなど、決め手は色々あると思います。
まとめ
焦ることはありません。それよりも、「自分がどんな看護師になりたいか」「どんな仕事をしていきたいか」、まずはこれをしっかりと見極めてください。
それからじっくり探したって、病院は逃げませんよ。看護師は、日本全国どこにいっても、人手不足なんです。
次は、らいちさんがいきいきと働ける環境を、見つけてくださいね。
一番大事なのは「自分自身が看護師としてどんな仕事をしたいと思うか」ですよ。
看護師としての、これからのスキルアップがうまくいきますように、椿もらいちさんを応援しています!