未樹さん (女性) からのお悩み
こんにちは、1年目の看護師です。
私の病棟では新卒が私含め2人でした。
同期の子は物分り良く、ミスも少ないですが私はミスばかり。
内容は主に薬関連で、約1年間で与薬ミスを6種類ほどしてしまいました。
その都度反省し、振り返りをし、改善策を見出してきましたが、最近は一度言われたことを忘れてしまう、当たり前にできることができていないミスが続いています。
先輩が私の間違えを言ってくれてとてもありがたいのです、怒られるのも自分が悪いので怒られるほうが幸せだとも思えます。
自分は毎勤務の帰りに確認を十分にしたつもりで帰るので、その上で間違えていたことがあると言われるともう自分を信用できなくなります。
自信がなくてどうしたらいいかわかりません。
今日は先輩に「前にも言ったよね?どういうつもり?どう意識付けしているの?」ときつく怒られました。
確認を忘れてしまってミスを犯すことばかりです。
もう自分で何度振り返りをしても、確認を充分にするしか思いつかないです。ノートの中も、怒られたことだらけで見るのも嫌です。
間違えないように、忘れないようにするにはどうしたらいいのでしょう…
一度言われたことを間違えないためにはメモを取って意識付けすることしかできないでしょうか。
椿(ツバキ)からの回答
いつ?どんな状況で?何が原因で?ミスにつながったのかをノートに記録し、チェックリストやダブルチェックで防ごう
こんにちは椿です。
お悩みを抱えている中、回答が遅れて申し訳ありません。
今回は、少し毒舌気味になりますが、読んでいただければと思います。
まずは、未樹さんのお悩みを整理してみましょう。
誰でもミスを繰り返すことは怖いこと
私たち看護師だって人間ですので、誰でもミスをする可能性は十分にあります。
しかし、人間はそのミスを踏まえて、次にミスをしないためにはどうしたらいいのかということを考え、学習できる生き物です。そして、その学習を積み重ねて成長していくのだと思います。
椿が個人的に、未樹さんの悩みを見て気になったのが、「最近は一度言われたことを忘れてしまう、当たり前にできることができていないミスが続いています」という点です。
椿の経験上、ミスというのは程度が大きなものであればあるほど、次に同じことをするのが怖くなるのですよね。
そうすると、「本当はやりたくない」という強い意識が働いてしまい、周りの声が届かなくなることがあると思うのです(椿の経験則ですけどね)。
未樹さんのお悩みの根っこは、無意識的な防衛反応かも
おそらく、未樹さんも、周りの声が「聞こえない」というよりも「自分の意識に届かない」状態なのではないでしょうか。
椿はこの状態を“耳の奥に蓋をする”と言っていますが、ミスをしたかどうかに限らず、「やりたくない」ことって、無意識に防衛反応が働いてしまい、その人の意識に届かず、うまく頭の中で情報を処理できない結果“本当に理解ができない”という状態に、つながることもあると思うのです。
例えば、未樹さんも病院に勤めていてご経験があるかもしれませんが、病識がとても低い患者さんって、言われていることを理解できないというわけではなくて、「自分の病状を理解したくない」から、看護師や医師による「指導」が、成り立たない人もいると思うんです。
また、病識があっても、その指導が自分にとって嫌だと感じることであれば、実践に移されない、すぐに忘れてしまうなど、患者指導そのものが成り立っていないことって、往々にしてありますよね。
未樹さんも、このように無意識に防衛反応が働いてしまっているため、言われたことが意識に届いていない状態ではないでしょうか。
- 記憶する機能が低下している可能性も
ただし、本当に体も心も疲れすぎていて、記憶するという機能が低下しているということが考えられます。
椿は、お悩みを見る限り“ミスが続いてきたことによる悪循環”だと思いますが、未樹さんが悪循環によるものではないとご自身で思われているのならば、記憶や脳に関する医師へ相談してみると、解決への糸口が見つかるかもしれません。
「どうして間違えてはいけないかの理由」を理解していますか
周りから「意識づけができていない」といわれるということは、「ミスをした」ことだけを、覚えようとしているからではないでしょうか?
なぜ、どのような状況で自分がミスをしたのか、そのミスは「なぜ」ミスとして扱うべきだったのか、これを振り返らなければ、自分の頭の中には残りません。これを意識付けというのだと思います。
例えば、同じ青い色素である、トリパンブルーとピオクタニンという薬剤があります。これを、注射器で吸ってしまうと、本当に見分けがつかないくらい、ともに深い青い色の薬剤です。
手術中は、術式によってどちらを使用するかは決まっており、これを間違えると、手術が中止になることもあります。
トリパンブルーを使うシーンでインジゴカルミンを使うと、術野が真っ青になってしまい、手術の続行が不可能になることがあることは想像できると思います。
だからこそこういった、「なぜ、この2つを間違えてはいけないのか」という“理由”を、未樹さんがどこまで把握しているのか、少し疑問に感じました。
椿の今回のアドバイスは3つ
その1)ノートのまとめ方は、自分に合っているのか確認する
未樹さんのノートですが、言われたことや怒られたことをそっくりそのまま書いていませんか?
「〇月△日 XXXXXXの投与を間違えて、◇◇先輩に怒られた」こういう書き方では、当然のことながら、頭には入ってきません。
そうではなく、なぜミスを起こしたのか(自己分析)、そのミスはなぜ危険なのか(ミスの根拠)、これらのことを自分自身の言葉で、参考書等を見ながら、自分のわかりやすいようにまとめたノートは、きっと未樹さんのお守りになるでしょう。むしろ何度でも見返したくなるノートになると思います。
- さらにノートをそのまま確認するだけではなく、チェックリストも活用
それから「確認を十分にしてもミスをする」と書かれていますが、その確認方法もいかがですか?
確認したつもりなだけで、本当はきちんと確認できていなかったり、そもそも、確認方法が間違っているということはありませんか?文字を目で追うだけでは、確認にはなりません。自分なりのチェックリストなどを使って、しっかりと「間違っていない」記録を残しましょう。
確認に確認を重ねるにしても、今までの確認方法のどこかに問題があると思います。
おそらく、インターネット上とかで検索すれば、確認法や暗記法といった類の情報はいろいろ出てくるので、自分でできそうなものを探してみたり、あるいは、同期やプリセプターなどの確認方法を参考にしてみたらどうでしょうか。
その2)前日にダブルチェックをする習慣を
自分ひとりで確認してもミスがある、不安であるということならば、前日に他の人にも確認してもらう、いわゆるダブルチェックをするというのも1つの手段です。
看護師であれば、ダブルチェックは日常茶飯事のことなので、嫌がる人はいないように思います。最初は同僚から、可能ならちょっと上の先輩とか、話しかけやすい人で良いですから、一緒に「チェックしてもらう」ことを、お願いしてみましょう。
特に毎勤務の帰りの確認は、一人チェックだと思うので、その時点で誰かにチェックしてもらえば、翌朝に間違えたと怒られることも減るのではないでしょうか。
あるいは、しっかりと定着するまでは、1処置1業務ごとにダブルチェックをしてもらうことで、ミスを予防することも可能ですよね?
〇年目だから恥ずかしい、ということは無いんです。それよりも、下手に遠慮して、結果的に患者さんの安全を守れない方が、看護師として大きな問題があります。
その3)「怒られた」事実はしっかり受け止めて、前へ進もう
最後にですが、怒られることが嫌っていうのは、わかります。
確かに、大人になってから怒られるってとても嫌なことですよね。
しかし、その原因を作っているのは紛れもなく自分自身なので、そこを自覚するということはとても大切なことです。
「ノートの中も、怒られたことだらけで見るのも嫌です」って、これってもう、「私はこんだけやっているのに、何で怒られてんだろう」って言っているのと一緒ですよね。
怒っている側の立場もわかる椿としては、怒られたことに対しての反省ができていないように思えてしまいます。
未樹さんは、「先輩が私の間違えを言ってくれてとてもありがたいのです、怒られるのも自分が悪いので怒られるほうが幸せだとも思えます。」と書かれていますが、これって本心でしょうか?
もし、未樹さんが本心から「怒ってくれる先輩に感謝している」のであれば、先輩の顔を立てるためにも、これまでとはやり方を変えるべきだと思います。
まとめ
まずは周囲を巻き込んで、自分の業務を確認していきましょう。
怒られたこと(ミスしたこと)は、自分が分かりやすいようにメモを取ってまとめます。
そのノートは、怒られたことだけを書くのではなく、いつ?どんな状況で?何が原因で?ミスにつながったのかを記録し、自分のお守りにして、味方にしましょう。
それでも全くダメであれば、医療機関に相談して解決策を導く、これも1つの方法だとは思います。
「覚えられない」って、自分でそう考えてしまうと、なかなか前に進めません。
今はいろいろ大変かとは思いますが、長い目でみながら、少しずつ確実に取り組み、1年後には今のこの状況を笑い話に出来ちゃうくらい、自信が持てると良いですね。