ナカジマさん (男性) からのお悩み
椿さん、こんにちは。
私の悩みを聞いてください。
私は実習真っ只中の看護学生です。
前回実習中に指導教員から呼び出されて、30分ぐらい面談を受けました。
面談内容は2年前の、精神的ストレスから精神科病院に受診を受け、パニック障害とADHDという診断名を告げられ、薬(ストラテラ,オランザピン)を処方されていることについてでした。
それだけではなく、指導教員から改善の見込みがなく、指導が難しい事を何回も繰り返し言われました。
翌日、実習を1日休み、校長,教務主任,保護者(母親),私でその病院に行き、今後実習を続けられるのかを聞きに行きました。
医師は「本人にやる気があるなら、実習は続けていい」と言われ、実習続行という判定でした。
喜んだのもつかの間、学校の教員からは、「看護の世界はそんなに甘くないです。仮に実習を乗り越え、准看護師の免許を取ったとしても、現場にひとりで看護業務を遂行するのはムリ。」と断言されてしまったのです。
私自身、苦労して入学試験を突破し、友達も沢山出来ました。環境的にも恵まれていると思います。そして看護師は昔からの夢で、断念する気はさらさらありません。
そんな時、急性期実習の再実習の通告がきました。
・・・なんか複雑な思いです。
私は不器用で物覚えも人の倍以上かかります。
私みたいな出来の悪い生徒は、将来看護師として働いた場合、ミスでもしたら本校の名誉を汚すのかな…、教員にとっては目障りなお荷物かな…と思ったりします。
頭の隅っこには、教員から言われた「ひとりで看護業務を遂行するのはムリ」という言葉が無限ループで再生されています。
留年や退学になるかもしれないと、あまりの悔しさに涙が溢れてきました。
胸が張り裂けそうなくらいツライです。
このような場合、椿さんはどうされますか?
周りからどんな事言われようが、自分を信じて前へ進みますか?
アドバイスをお願いします。
椿(ツバキ)からの回答
自分の特性と症状をうまくコントロールしよう
回答が遅くなってしまい、大変申し訳ありません。
ナカジマさんは、准看護師を目指して実習に励まれている最中。そこで、さまざまな悩みが出てしまっているのですね。
まずは、お悩みの整理
ナカジマさんは、現在、実習の真っ最中(准看護師を目指す2年生でしょうか?)。2年前にパニック障害とADHDとの診断を受け、今は薬物治療をしている。
指導教員から、何回も同じ事を言われ、改善の見込みがなく、指導が難しい事を言われてしまった。
一応、主治医には「続けてよい」と言われているが、教員側からは「お荷物」だと思われていると考えている。
しかし、昔からの夢だった看護師はあきらめたくない。
でも、教員からの「ムリ」という言葉が、繰り返し頭に浮かび悩んでいる。
ナカジマさんのお悩みは、このような整理でよろしいでしょうか?
自分の状況と、どれくらい向き合っていますか?
お悩みの中に精神科に通院されていると書かれていますが、ナカジマさん自身はどのように今の状態を受け入れているかが気になります。
一般的な「パニック障害」と「ADHD」についてまとめてみますね。
これについて、どれくらい自分自身をコントロールできるのかが、ナカジマさんにとって今後を決める大きなポイントになるかと思います。
自分自身また身近な人はナカジマさんをどうみているのか
ナカジマさんを客観的に見ている2つの立場の人たちが、違う判断をしている点が気になります。
お悩みを拝見する限りでは、ナカジマさんとともに過ごしている時間が長い、指導教員の判断のほうが正しいように思います。
ただ、仮にも教員の立場なら「現場にひとりで看護業務を遂行するのはムリ」と頭ごなしに否定するのではなく、もうちょっと違う言い方は無かったのか?と思いますけどね。
そんな状態だからこそ、ナカジマさんとしてはその教官に頼れないですよね。
だからこそ、ナカジマさん自身で自分の行動を見直したり、自分をコントロールできるかどうかが大事になってくると思うのです。
その教官が苦手なら、別の教員の方や、ナカジマさんの同級生でもかまいません。第三者の目で、習得具合の判断をしてもらうことが、必要なのではないかと思いました。
椿からのアドバイスは2つ、看護師を続けるか、別の道を探すか
究極の選択のように見えますが、これからのナカジマさんの人生を決める、大きなターニングポイントになると思います。
1)看護師として働くことがよいのかどうかを客観的に考えよう
ナカジマさんにとって看護師になることは、長年の夢だったのですね。
だから簡単にあきらめきれないのはわかります。ですが、将来的に「ひとり立ち」ができるのかどうかを、客観的に考えてみてほしいと思います。
たとえば、患者さんが急変したときにパニック発作が起きたら?
救急搬送された患者さんのケアの時、準備不足で何度も「物品を取りに行く」ことになったら、患者さんはどうなるでしょうか?一番、最悪な状況を考えてみた場合、ナカジマさんはどのように対処しようと考えていますか?
厳しい言い方ですが「何とかなる」では済まされないこともあるのです。
ここで、ナカジマさんなりの答えが、周りを納得させられることができないならば、やはり他の道を考えることも必要かもしれません。
現在、精神科に通院して薬物治療をしているなら、症状はどのような状態なのか、一度あらためて主治医を含めて考える時期なのかもしれません。
実際「ADHDかな?」と思われる人は、看護師の中にもいます。私自身も会ったことがありますよ。ですから「らしき人」くらいは、そうそう珍しいものではありません。
問題は「日常生活に支障があるかどうか」だと思うのですが、実習を離れたところではとくに困っていることはないのでしょうか。
「看護師としてのひとり立ちが可能なのか」「日常生活でどのような支障があるのか」これらを「客観的に」考えて、教員の言葉をもう一度考えてみると、ナカジマさんの進むべき道が見えてくるのではないでしょうか?
2)別の道も探ってみる
パニック障害+ADHD の場合、椿個人としては「研究者」とかが向いていると思いますし、臨床にこだわらなくてもよい気がします。
そちらの道については、検討してみたことはありますか?
看護師として現場に立つことはできないかもしれませんが、せっかくの資格を得られるチャンスまで無くす必要はないと思いますよ。
それでも臨床にこだわりたいなら、救急外来などの「臨機応変さ」がメインの部署よりも、「(急患の少ない)OPE室」などのいわゆる「覚えることは多いけど一度覚えたら職人技」的なところの方が、向いているような気がします。
これらの部署なら、ひとりで何かを全うすることは少ないですから、周りの理解が得られれば、すごい力を発揮することもあります。
ただし、その場合でも周りに自分の状況を隠さないでオープンにしましょう。
おわりに
ADHDの人って、「発達障害」として括られてしまうので、悪いイメージが強いですが、椿はそう思いません。
周りとの調和やルールを守ること、臨機応変に物事を進めることが難しいだけであって、いきなりスイッチが入って誰もが驚くような仕事をする人や、次々と新しいことをクリアしていく人もいます。
またADHDは突き抜けた考え方をしてしまうことがあるので、周りをびっくりさせない配慮が必要です。
自分の特性をうまくコントロールして、ナカジマさんが納得できる職業を見つけられるといいですね。