小松正子さん (女性) からのお悩み
初めまして、椿様。
この度はご相談の機会を頂きありがとうございます。
さっそく相談内容についてですが、率直に申し上げますと、看護師としての自分の転職・セカンドキャリアについて悩んでおります。
私の経歴については、25歳、看護師5年目(内6ヶ月 救命救急病棟、その後~現在まで 慢性期病院医療療養病棟で働いています。)で、
もともと看護師になるキッカケも、女性でも一人で生きていく力を付けたいと思い、看護師になりました。
もちろん仕事はしっかりとこなしてきたと思いますし、この5年間の看護師としての働きで周囲の職員からの信頼も得ることができました。
しかし、他の人より、ナイチンゲール精神のようなもの(自分の身を粉してまで他者を助けたいという奉仕の精神)は少なく、自分の人生の一部が看護師であり、プライベートな時間も大事にしたいと思っています。(よく働いて、よく休むという働き方を理想としています。)
その為、今の日本の病院全体の看護師の働き方に納得がいっていない状態です。
(サービス残業、先輩後輩間での結婚妊娠の順番がある、休日の勉強会の出席など)
また、在職している病院では、介護士の不足により、オムツ交換や体位変換などの介護士業務を看護師が行なっており、それによりカンファレンスの時間や患者さんへの保清の時間などが減らされている状況で、看護師としてのクリティカルな視点や患者さんへ良い看護が提供できていないと感じています。
現在、看護大学が増え、今後看護師が飽和状態になる可能性もあると示唆されており、看護師プラスαなにか強みをもたないといけないと考えております。
しかし、病院で働きつづけることは考えづらく、在宅看護に挑戦してみるか、看護師がもっと働きやすくなるための支援をする仕事もしてみたい考えていますが、具体的な資格や仕事がわかりません。
長文でまとまりのない文章になってしまい、申し訳ありません。
椿様のご経験や知識でアドバイス頂けたら幸いです。
よろしくお願い致します。
椿(ツバキ)からの回答
今やりたいことを明確にしてキャリアアップを
ご相談への返答が遅くなって申し訳ありません。もしかしたら、現在すでにキャリアが決まってしまっているかもしれませんが、参考程度にみていただければと思います。
まずはお悩みを整理します
椿がお悩みを拝見した感じですと
- 今の看護師の働き方に納得がいっていない。
- 介護士の仕事を看護師がしなければならず、いい看護ができていない
- 今後の看護師の飽和状態に備えて何か強みを持ちたい
このような感じでしょうか。もしも違っていたらすみません。
小松さんのお悩みがこの通りだと仮定して話しを進めるなら、それぞれでアドバイスとなる事が違ってくるように思います。
椿の感じたこと
看護師の働き方についてですが、まずは、小松さんご自身のキャリアについて考えてみましょう。
看護師としてのキャリアを、着実に積んでこられた方
小松さんは看護師としてのキャリアを、着実に積んでこられたのではないかと思います。
実は、これが当たり前のようにも見えますが、なかなか難しいものです。
仕事に没頭しすぎて人間関係や信頼が得られなかったり、その逆も然り。
だから椿は、今の小松さんの姿を素晴らしいと思います。このキャリアは今後も、十分に生かしていってほしい、というのが、今の椿の思うところです。
また小松さんのおっしゃる看護師の働き方の中には、小松さんが知る世界だけのものもあるかと思います。
結婚や妊娠に先輩後輩の順番があるなんて、椿は初めて聞きました。
また休日の勉強会も、職場によっては休日なら勉強会が休めたり、勉強会を何回かに分けて設定して休日出勤しなくても全員が勉強会に出られる環境を作っていたりします。
看護師不足を背景に、椿がバリバリ現役で働いていたころよりも、看護の世界の処遇はかなり整ってきています。
全国統一とまではいかないまでも、休む時は休む、休みの日の勉強会は欠席する、そういう働き方もありなのです。
それが例えば小松さんの出世に響くというなら、その病院の方がどうなのか?という気がします。
年齢的に悩む時期かもしれませんね
小松さんの年齢的にも、ちょうどセカンドキャリアについて悩む時期になるかと思います。
小松さんの経験を考えると、在宅看護には転職できると思いますし、在宅看護側もウェルカムだと思います。むしろ喉から手が出るほど欲しい人材かもしれません。
ですが、働きやすくなる支援というと、具体的には「?」という部分もあります。
1つの病院の中で働きやすい環境を作りたいということであれば、管理職を目指すのはどうでしょうか。
もちろん、さらに上の人との板挟みになりますから、かなり疲弊するとは思います。しかし、看護師の働き方を変えるには、管理者の考え方を変える必要があるのです。
これは、病院単位でのお話し。
では病院という垣根を超えるには、どうすれば良いでしょうか。
病院を離れて、看護師という職を離れて、もっと外から医療や看護の世界を見直す立場に就くことが必要かもしれません。
椿のアドバイスは3つ
1つ目、喫緊での小松さんの働き方について
小松さんが書かれているように、今の経験やキャリア的に在宅看護に興味があるならば、挑戦してみてもいいと思います。
これは椿も胸を張って勧められます。きっと看護師としてご活躍されるのではないでしょうか。
2つ目、看護と介護の切り分けについて
確かに、介護士の仕事を看護師がやって、その間に介護士さんがお茶を飲んでいたら、腹が立ちます。
でもそれは、その場で話し合うべきことではないでしょうか。
この状況で一番大事なのは「介護を必要とする人=要介護者」です。
要介護者が安全で安楽に療養できることが一番大事なのであって、どの介護を誰が(どの資格を持つ人物が)行うべきなのか、その現実に納得がいかないのなら、とことん話し合うべきなのです。
これは医療や介護以外の世界、一般企業でも良くある事。
仕事ができる人とできない人の違いです。自分ができる側であって、できない側の言動に納得いかないなら、その職場を離れてしまうことも選択肢の一つと考えて良いのではないでしょうか。
3つ目、今後のセカンドキャリアについて
例として3つほど挙げてみます。
A:病院で管理者になって、その病院を変える
ただしこれは、病院の枠を出ることは難しいです。「全国の看護師の」には恐らくなりません。
B:すでに良い体制のところへの転職をあっせんする側になる
この場合、「良い体制で働く看護師」は増えますが、小松さん自身が看護師としてのキャリアとはまた別のキャリアになるので、正直もったいないと思います。
ここで必要になるのは「会社員としてのキャリア」ですからね。
C:「看護師が働きやすい環境づくり」を支援する仕事をする
分かりにくいかもしれませんが、例えば「病院や看護師に対する【研修】を受託する側になる」ということが考えられます。
実際、こうした企業はいくつかありますが、まだまだ少ないですから小松さんご自身が起業するのもありとは思います。
とはいえ、いきなり起業しても上手くはいきませんので、例えば「コーチング」に関する資格とか、人の心の持ち方を良い方に変えるような知識や経験を身に着けることが必要です。
これは、看護師をやりながらでも勉強することはできます。
もしくは国家資格となった「キャリアコンサルタント」を目指すというのも選択肢の一つです。
看護師の有資格者だからこそできる、看護師の働き方改革って、なかなかできるものではありませんが、この先は必要になってくる分野ではないでしょうか。
まとめ
総合すると「まずは今やりたいことを明確にしていきましょう」ということです。
小松さんのお悩みは、それぞれなるほどと思える内容なのですが、小松さんご自身の気持ちがあちこちに飛んでしまっている印象を受けます。
今、自分が一番やりたいことは何なのか、そのための障壁は何なのか。これを小松さんご自身の中で明確することが必要ではないでしょうか。
どのキャリアを選択したにしろ、小松さんが生き生きとキャリアを積んでいかれるのを椿は応援しています。