あなたが働く職場では決められたことはきちんと守られていますでしょうか?
今回は、看護師が知っておくべき決まり事=法律のお話です。法律の話は知っておいて損はないと思いますので、自分の職場は大丈夫なのかチェックしてみましょう。
看護師が知っておくべき法律
「看護師」といえば、その資格を規定している保健師助産師看護師法(以下、保助看法)がまず浮かぶと思います。日本国内の医療機関で、看護師として、医療者として、働く上で関わっている法律はとてもたくさんあります。
- 【日本国内で】
- 日本国憲法、刑法、民法
- 【医療者として】
- 医療法、薬事法、医師法ほか医療従事者の資格ごとの法律
- 【看護師として】
- 保助看法、看護師等の人材確保の促進に関する法律
- 【医療機関で働く】
- 労働基準法(以下、労基法)、労働安全衛生法、雇用保険法 ・・・などなど
しかもそれぞれの法律に下には、
- ● 保健師助産師看護師法施行規則
- …法律で決められたことをどうやって実行するかが事細かく書かれている
- ● 保健師助産師看護師学校養成所指定規則
- …保助看法で決められた資格を取るためにどんなところでどんな教育が必要であるかを事細かく書かれている)
というものもあります。”●●法案が国会を通過”というニュースがありますよね。これは他の法律と同じように、法自体を大きく変えるのは国の仕組みとして時間も手間もかかるので、間に合わない部分を細かい施行規則補っているというわけです。
看護師の専門性によって知っておくべき法律は異なる
また、看護師の専門性などによっても必要となる法律は変わってきます。
例えば、感染症患者さんが多い部署であれば感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律などは常に念頭においておきたいですし、癌患者さんと接することが多ければがん対策基本法など知っておくことは基本です。
また、2009年にできた肝炎対策基本法のように比較的新しい法律も、看護師であれば一度は目を通しておいたほうがいいでしょう。
看護師が知っておくべき職場における法律
アナタは自分の職場の労働条件や環境が本当に法律に違反していないかどうか、考えたことはありますか?
日本で働くための基本となるのが労働基準法(=労基法)ですが、労基法は全部で13章に分かれています。中でも看護師の皆さんに知っておいて欲しいのは、賃金と労働時間、妊産婦等の章です。
賃金
賃金の章には、月に1回決められた期日に通貨(要はお金)で支払うことや、最低賃金について規定されています。
労働時間
労働時間の章は、看護師という職務上遵守するには一番難しい部分かもしれません。
ここには休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならないとなっていますが、まぁこれを守れている看護師はあまりいないでしょう。
実はこれには抜け道があります。基本は1日8時間、1週間40時間なのですが、就業規則などできちんと定めていれば、清算期間(給与計算の単位=1か月)で調整すれば良いことになっています。
つまり、1か月の間に平日が20日間あるとすると、1か月で160時間までは通常勤務とされます。ここでは時間外は計算しません。
さらに就業規則で定めてさえいれば、勤務表が出来た時にアナタが何も言わなければ規定時間以上働くことを了承したことと同じになります。
「休みがない!」と叫ぶことができるのは『暗黙の了解』で勤務表が出来た時なのです。
妊産婦
妊産婦については、「産後8週以内は働かせてはいけない」とか「軽微な作業に変える」とか書かれていますが、よく見ると本人からの申請があれば、となっています。
つまり、アナタが妊娠しても、申請しない限りは雇用者側から配置転換などをする義務はないのです。
その他、おさえておくべき法律
労基法の他におさえておくべき法律は労働環境の安全性を規定している『労働安全衛生法』です。これには労働災害の予防策を立てることや定期的な健康診断の必要性などが書かれています。
あなたの職場は大丈夫ですか?
以上が看護師として働く上で知っておくべき法律です。特に労働環境に関する法律などは非常に重要です。
初めて勤務した場合や長く勤務した場合には今の職場の環境が当たり前になっていることもありますが、もし上で述べた法律に反しているような職場環境で働いているのであればこの機会に転職を考えた方が良いかもしれません。
あなたが看護師としてスキルアップ、キャリアアップしていくためにはやはりしっかりとした職場環境で働くことが重要です。まずはそのようなしっかりとした職場に移り、地に足付けて働くことが重要ですよね。