目次
目的
- 足の状態を観察し、足病変の早期発見と適切なケアを行う・足病変のリスクを把握しアセスメントすることで、予想しうる病的な変化を予防する
観察項目
皮膚のバリア機能
- ドライスキン
- 乾燥のレベル、ひび割れや亀裂の有無を観察するが、悪化すると出血等を起こす場合がある
- 浸軟
- 特に趾間は浸軟が多いが、足全体の浸軟の度合い
- 浮腫
- 圧痕の程度、部位、浮腫による乾燥や乾燥による掻痒感、低栄養状態の有無
足の変形
- 外反母趾
- 外反の角度、疼痛の有無、発赤や創の有無、普段履いている靴の形状(聞き取り)
- 槌指(ハンマートゥ)
- 指先や第2関節の発赤、疼痛、胼胝や鶏眼の有無、色素沈着の有無
- シャルコー関節
- 突出部の胼胝や痂皮(骨の露出がある場合もある)、熱感・紅斑・腫脹や疼痛などの炎症徴候の有無、足のアーチの扁平(立位によるバランス)・爪白癬:爪甲の色、肥厚の度合い、爪の硬さ、切断面周囲の爪の崩れ方
- 陥入爪
- 爪の巻き込みの度合い、深爪の有無、疼痛の有無、爪周囲の発赤、二次感染や肉芽形成の有無
足病変
- 皮膚損傷、潰瘍
- 損傷部の位置、損傷の深さと広さ、発赤・腫脹・滲出液や膿の有無など感染の兆候
- 胼胝、鶏眼
- 発症部位(好発部位は趾背、趾間、足底、外踝部など)、疼痛の有無、発赤の有無
- 白癬
- 部位(好発部位は、趾間、足趾の裏側、足底、足背など)、左右差、炎症や左右差の有無
感覚機能
- 末梢神経障害
- 足全体のしびれ感、疼痛(「焼けるような」「刺すような」と表現されることがある)の有無、知覚の左右差の有無、歩行パターンや関節可動域、足関節や足趾動きなど
血流障害
- 皮膚温
- 足全体の冷感、左右差の有無
- 脈拍触知
- 足背動脈や後脛骨動脈の触知、左右差の有無
- 色
- 足全体のチアノーゼの有無、爪の色(血行障害が強くなると爪が白く見える)
- 疼痛
- 足全体の疼痛の有無、左右差の有無、拳上時と下垂時の疼痛の違い(痛さのレベルや左右差)
アセスメント
皮膚のバリア機能
- ドライスキンは悪化すると出血等を起こす場合がある
- 浸軟は観察時には変化がなくても、生活状態に照らし合わせ、発汗の多さ、足が蒸す環境にあるか、靴や靴下の通気性はどうか、などあわせて考える
- 浮腫は、全身の疾患や栄養状態もあわせて考え、栄養状態の改善が必要になる場合もある
足の変形
- 足や爪の変形がある場合、その部位と程度や状態の把握とともに、普段履いている靴や靴下、歩き方などの生活状況もあわせて考える
- 過去に足趾の切断を行っている場合、末梢神経障害があると歩行による皮膚損傷や足病変が自覚できない場合があるため、切断部周囲だけではなく、足全体を確認し、新たな病変の発生や進行を予防する
足病変
- 皮膚損傷の程度は、深さ・広さ・感染の有無から1~4度に分けられるが、これによって治療やケアの内容が変わる
- 1度:圧迫を除いても表皮の発赤が退色しない
- 2度:表皮や真皮までの損傷びらん、水泡を形成する
- 3度:皮下脂肪組織までの損傷、黄色・黒色の壊死組織があり、感染を起こしていることが多い
- 4度:筋肉、骨まで損傷が及び、ポケットや孔を形成し、感染を起こしている
- 胼胝や鶏眼は、足にかかる圧迫や圧力によるものであるため、普段履いている靴などが適しているか、立位や歩行時間の長さなど、原因となる状況もあわせて把握する
- 白癬は、基礎となる疾患(糖尿病や高脂血症)がないか、家族に白癬がいるか、靴をはく時間が長いか、汗をかきやすいか、などもあわせて把握する
感覚機能
- 末梢神経障害がある場合、基礎となる疾患の有無や程度もあわせて考える
血流障害
- 下肢の血流障害を起こす原因として、動脈硬化、糖尿病、末梢動脈疾患(PAD)、静脈瘤などがある