フットケアの基本 全身状態把握とアセスメント

目的

• 足の変形や病変を招く全身の状況を把握する

観察項目

身体状況

肥満

肥満の程度、皮膚の擦れの有無や部位

るい痩

るい痩の程度、骨の突出部の有無、履物などによる圧迫の状態

姿勢

加齢による前傾・前屈姿勢の有無、O脚やX脚の有無、股関節の変形、骨盤の位置の左右差

歩き方

歩行の速度やリズム、左右非対称性の有無、骨盤の上下動の有無や左右差、手の振り方の左右差、間欠性跛行の有無

身体防御機能

全身疾患

糖尿病（高血糖）の有無、低栄養の有無、末梢動脈疾患（PAD）、心疾患・肝疾患・腎疾患の有無など

免疫機能の低下

加齢、ストレス、喫煙の有無、自己免疫疾患やストロイド薬の使用の有無

皮膚異常

全身の皮膚の乾燥の状態、掻痒による擦過傷や皮膚の亀裂など

セルフケアに影響するもの

運動機能障害

加齢による関節可動域の減少、脳疾患による麻痺の有無、整形外科疾患による関節可動域の変化

視力障害

加齢による白内障や糖尿病による網膜症の有無、緑内障などによる視野欠損の有無など

認知障害

認知症の有無や認知度の程度、必要であれば家族からの聞き取りを行う

アセスメント

身体状況

• 肥満がある場合、皮膚の接触による皮膚異常を起こしやすい、体重過多による足への負担が大きい、膝や腰への負担から姿勢や歩き方に影響を及ぼすことが多い
• るい痩が顕著な場合、骨の突出部に圧力がかかりやすく、靴による擦れを起こしやすい
• 前傾や前屈姿勢が続くと足先に負担がかかりやすく、またO脚では足の外側に、X脚では足の内側に圧力がかかりやすい
• 歩行パターンに異常を来すと、足底に部分的な強い圧力がかかり、足の変形や外反母趾、胼胝や潰瘍が出来やすい

身体防御機能

• 全身疾患がある場合、例えば糖尿病では神経障害などの合併症が生じていることもあり、全身状態の改善が重要な課題となる
• 免疫機能の低下は足病変の発生や悪化を来しやすい
• 皮膚の乾燥は腎不全や透析患者、高齢者や糖尿病患者で発生しやすく、全身への皮膚ケアが必要となり、また浮腫がある場合は足の皮膚が傷つきやすい状態にあるため、適切なケアが必要となる

セルフケアに影響するもの

• 何らかの原因により関節可動域に変化がみられると、自分自身の足が見えにくい、手が届かないためケアがしにくい、などの影響がある
• 加齢や片麻痺がある患者は、手指の細かい動作が困難となり、セルフケアが難しくなる
• 視力障害がある場合は検査値だけではなく、実際に患者がどの程度自分の足が見えているかもあわせて把握する
• 認知障害がある場合、失語・失行だけではなく、計画の立案や手順に従ったセルフケアが難しいため、本人への観察だけではなく、家族からの聞き取りも必要となる