ななこさん (女性) からのお悩み
12年前に出産と同時に病院勤務を辞め、今は内科・皮膚科のクリニックで5年ほど働いています。以前勤めていた病院では新人の頃から3年整形外科病棟にいました。
最近、病院への転職を考えています。
子供もある程度大きくなり、夜勤などもできるかなと思うことと、このままこれ以上の看護技術を習得できないままで終わりたくないと思うからです。
現在37歳。体力的にも、病院への転職は今しかできないと思います。
ただ、クリニックという環境に慣れてしまったので、病院に勤務できるのか、内科・皮膚科以外の科で務まるのか、病棟と外来のみのクリニックでは同じ内科でも違うだろうと思います。
今転職して自分が上手くやっていくために、どんな心構えが必要なのでしょうか。
教えてください。
椿(ツバキ)からの回答
予め研修を受けるなどして準備をするといいかも
ななこさん、こんにちは。椿です。
12年前に出産と同時に病院勤務をやめた、ということは、お子さんは12歳?小学校高学年くらいでしょうか。その頃であれば、確かにお留守番もできるでしょうし(とはいえ、子供だけでは無理だと思いますが)、夜勤をしても大丈夫なお年頃だと思います。
病院とクリニックの違い
クリニックという職場は、それなりに良いことも多いですよね。夜勤が無かったり、時間外も少ないのかな?これはクリニックにもよるのでしょうか。
看護師の職場として考えると、病院とクリニックの違いは、いくつかあると思います。
1.クリニックは基本的に夜勤が無い
有床クリニックであればシフト上の夜勤もあると思いますが、患者さんそのものも少ないですよね。1人夜勤などもあるのかもしれませんが、あまり重症の患者さんもいないのではないでしょうか。
これは次の2.にも関係しますね。
2.重症度が違う
例えば療養型の病院であれば、それなりに重症度は低い(慢性期が多い)と思いますが、救急指定病院などと比較すると、やはりクリニックの方が重症度は低めなのかと思います。
3.異動がない
クリニックの中で明確に勤務体制が分かれているところはそうそうないと思いますので、ずっと同じスタッフ、同じ業務内容であることの方が多いのではないでしょうか。
こう考えると、5年も勤めたのクリニックの方が融通もききそうですし、未練がありそうな気もしますが、どうでしょう?
やはり病院とは違う、病院に戻りたいという意思はお持ちなのでしょうか。
「クリニックから病院への転職」で想定されること
ではちょっと前向きに考え、クリニックから病院への転職について、私なりに考えてみます。
まず、病院勤務であれば、夜勤は必ずあると考えましょう。病院でも外来担当であれば夜勤に入ることは少ないかもしれませんが、その病院が救急指定病院であれば、少なからず外来での夜勤もあります。病棟へ配属された場合は、必ずありますね。つまり「夜でも働ける体力」は必要になります。
ななこさんはまだ37歳とのことなので、大丈夫かな?夜勤を乗り切るちょっとした工夫はしておく必要があるかもしれません。
それから、病院勤務であれば異動もあります。現在のななこさんは内科・皮膚科での知識と経験は豊富だと思いますが、それ以外の科や、例えば手術室やカテ室など、ちょっと特殊なところに配属されたらどうでしょう。覚えなくてはいけないことが山ほどあります。
でもこれも、私よりはずいぶん脳みその皺も多そうなので、まだ大丈夫かな?
あとは、自分の現在の看護技術を、客観的に評価しておくと良いと思います。ななこさんは、かつては整形外科病棟だったようですが、整形外科1つをとっても、10年前とはずいぶん変わっている所もあると思います。
私自身が10年の時を経て看護師に復帰したときに直面したのは「昔の常識は今の非常識」という現実です。これは本当に辛かった。かつての自分を全否定されたようなものでしたからね。
また、整形外科の経験があるとはいえ、必ずしも整形外科に配属されるわけでもありませんし、今の内科・皮膚科に配属されるわけでもありません。そうなると頼りになるのは学生の頃の記憶でしょうか。
私自身も転職して感じましたが、何故か古い記憶ほど鮮明に思い出すことが多いのです。だからこそ「昔の常識は今の非常識」という現実が、ものすごく辛いものになりました。
ブランクはあるもの、と思っていた方が良い
お悩みを拝見する限りでは、気力・体力は大丈夫かもしれません。知力に関しても、勉強することは非常に多いと思いますが、まだいけるのではないでしょうか。
あとは、現在の自分の看護師としてのレベル、持っている看護技術の状況を客観的に判断することが必要だと思います。
その上で、転職したい病院の候補が上がったら、そこで標榜している科は何か、自分のこれまでの記憶と経験で不足しているところはありそうか、充分に検討してみると良いと思います。
看護技術に関しては、病院独自の研修を行っているところもありますし、看護協会などでも講習会を開いているところはありますよね。
ななこさんは「ブランクはない」と考えているかもしれませんが、やはり他科のこと、入院患者さんに対するケア(科に関わらず必要な、清潔や移動のテクニック、投薬や点滴などの処置も含め)に関しては、ブランクがあると考えた方がよいのだと思います。
そうすれば、現在の自分に不足しているところも見つけやすいですし、実際に次のところに就職する前に、その不足分を補う研修を受けるようなこともできますよね。
クリニック→クリニックでの転職であれば、入院患者さんに対して共通的に必要な看護技術は、たぶん不要です。
しかし、クリニック→病院での転職であれば、科に特化したものの他に、全科共通ともいえるケアがあります。ここを忘れていると、痛い目に会うかもしれません。
ですので、客観的に見て不足しているところ、すっかり忘れてしまっているところは、予め研修を受けるなどの準備をしておくと良いと思います。
復職支援研修については過去にこちらの記事でまとめていますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
個人的には、ななこさんの転職は応援しています。ぜひ上手く行ってほしい!
頑張ってください!