看護師として働いていくなかで、ほぼ必ず求められる夜勤…。
まだ夜勤の経験のない人は、「夜の仕事って怖そう」とか「実際はどうなんだろう」と思うかもしれませんね。実際に働いている人では「私のときなんか…」「こんなこともあった」と、様々な経験を思い出す方もいるかもしれません。
今回は私が経験した、夜勤で実際にあったのさまざまなエピソードをご紹介します。
患者が脱走!病院と警察で大捜索した一晩
手術前の患者が突如、治療を放棄し「手術しない」と点滴を自己抜針し病院から抜け出すという大事件が!
たまたま最後に目撃したのが私で、それから20分足らずの間に病院を脱走。
病院全体を捜索するも見つからず、警察に連絡し自宅を捜索してもらったところ自宅にいた患者を発見しました。しかし、患者は治療を放棄しそのまま強制退院となりました。
手術前の説明・同意を貰った後でも、このようなことが起こるのです。
改めて、インフォームドコンセントの大切さを学んだ一夜でした。
血だらけの患者!後から分かった衝撃の事実
患者の急変は、夜勤に多いです。これは、私が初夜勤のときに起こった出来事です。
まだ30代という年齢で入院していた患者が、急に不穏になり点滴を自己抜針し周囲は血だらけになりました。新人でそのような場面に遭遇してしまい、止血のために素手で血だらけの患者に触れようとしてしまい主任に手袋をつけるよう注意されたのです。その時は、「でも止血も大切なのに」とも思いました。
結局、患者は不穏のまま一晩過ごし頭部CTなどでも原因が分からず、大きな医療センターに転院となり、それから2-3日後に分かった疾患名は「エイズ脳症」でした。
エイズ脳症といえば、いわばエイズの末期状態。そんな患者の血液に触れそうになった、感染しそうになった自分がいたことに背中がゾッとしました。当時私のいた病院では、人権の問題で、エイズ検査の結果は医者しかデータを見れないようになっている上、普段はあまりエイズ検査をしていなかったのです。
感染症の恐ろしさを知った夜勤でした。皆さん、感染防止は本当に大事ですよ。
家族に愛された一晩の夜
死期が近くなると、病室に泊まり、夜も患者と過ごす一時を大切に過ごして下さる家族は多いです。
当時私が担当した患者の場合も、患者の意識が混濁している状態でも毎日声をかけてくれて、夜も付き添ってくれる。また、配偶者だけでは身体に負担がかる為、家族で交代で寝泊まりし皆で声をかけあっていました。
そんな家族に愛された患者は、家族皆に声をかけてもらいながら最後を迎えることが出来ました。
患者の最期を看取った家族は「よく頑張ったね」と最後まで愛情のある言葉を絶やさず、見送っていました。
やはり、家族の在り方でその人々の見送りの仕方が変わってくるのだと思います。
愛情のある家庭ってとても素敵だなと思いました。
最後に
夜勤には様々なエピソードがあります。
何が起こるか分からないという反面、辛い経験だけでなく、看護師として非常に大切な経験をすることもあります。その全てが、自分の経験となります。
何事もプラスに考えて夜勤の経験を糧にしていきましょう。