ゆんさん (女性) からのお悩み
病棟で働いており、今年看護師4年目です。
時おり独歩の患者さんがいました。
そこまで認知はないですが、センサーマットを夜だけ使用しています。
病棟で見守りが必要で冗談話をしながらベットへ誘導していたところ、ほんの少しよろけて抱きつく形になりました。
90代のおばあちゃんで左側胸部がポキっと言ったと同時に疼痛の訴えありました。
レントゲンはまだとれてないみたいなのですが、もしかしたら、折れているかもしれません。
退院も間近になってきている人だったのに、これでは関係が完全に崩れて何より患者さんが、辛いですよね。骨折と決まったわけではないですが、、きっと骨折している可能性が高いだろうと思っています。
病棟師長には経緯を話しましたが、患者本人と私が言ってることが軽度異なっている様子です。
もう、病棟師長以外で打ち明けることができず、反省してもしたりなく、一人でただただ軽率に行ってしまった行為に反省するばかりです。
こんな体験された方いないとは思いますが、、、
本当に看護師をやめたい。
そして、患者さんにむやみやたらに触れてしまうため、もう本当にやめて消えてしまいたい。
患者さんの入院が長引くかもしれない、患者さんがショックを受ける表情を考えるたびに本当に消えてしまいたくなります。
病棟スタッフからも何か言われることまちがいありませんよね。
こんなところに書いてすみません、、、。
椿(ツバキ)からの回答
思い悩むのは今日まで。ここを乗り越えられたら、看護師として大きく成長できるはず
ゆんさん、こんにちは。椿です。
悩み苦しんで相談をいただいていたのにもかかわらず、回答が遅れて申し訳ありません。
回答が遅いにも関わらず、今回は、少し毒舌気味になることをご了解ください。
まずは「自分のやったこと」を真摯に受け止め、対応策を考えましょう
もう結果は出ていると思いますけど、患者さんの訴えや、その時の状況から折れている可能性は高いと思います。
もちろん、反省することも大事ですが、どうしてそうなったのか、どうすればそうはならなかったのかという自己分析が、前を向くためには必要です。
師長に相談しているのならば、師長も交えて、「どうすれば良かったのか」「今後はどうすべきなのか」をしっかり話し合いましょう。
また、結果的に、病棟全体や病院全体に知れ渡っても、それは仕方のないことと、覚悟しておきましょう。
それに対して、ゆんさんを責め立てる人は、そうそういないのではないでしょうか。
わざとやったわけでも、隠ぺいしたわけでもないのですから。
看護師という職業を続けていけるのかどうか…
お悩みを拝見する限りでは、行政処分を受けるほどでもないし、何より、故意的ではなく事故だったことから多分、続けることはできるとは思います。
ただし、その患者さんのご家族との関係性によっては、病棟を異動するなどの処遇は受ける可能性がある、まだどうなるかは分からない状況にある、というように思っておくことは必要だと思います。
病院は大騒ぎしたくはないでしょうから、穏便に済ませる方法を考えることと思います。
もしも、病院からの何かしらの処分を受けるなら、それはしっかりと受け止めるべきです。
また、その処遇に対してどうしても納得いかないなら、転職することも1つの手ではあります。
ただし、転職先での面接で「なぜ前の病院を辞めたのか」という理由は、恐らく聞かれるので、ごまかさない方がよいです。
というのは、あくまで一般的な考え方であり、ゆんさんに向けて伝えたい内容はここからですので、ここからをしっかりと見て頂ければと思います。
すでに十分な反省はしているはず、今度は前を向いて
ゆんさんは、もう充分に反省はしているように思えます。
失礼な話かもしれませんが、一時的に「消えたい」と思っていても、それはやはり一時的なもの。ある程度時間が経てば、再び前を向くことは、おそらくできるでしょう。
今はとてもつらいとは思いますが、ここを踏ん張ることで、看護師としては大きく成長することができるのではないでしょうか。
今回の経験をしたゆんさんはきっと、他のどの看護師よりも、「患者さんの安全」を第一に考えられる看護師になれますよね。
いろいろと考えたうえで、転職するという結果になったとしても、自分の看護師としての信念として「患者さんの安全が第一」を掲げていることは、すばらしいと思いますよ。
さらに、患者さんにとっては失礼かもしれませんが、こういった経験はすべての看護師がするわけではなし、したくてできる経験でもありません。
ましてや4年目という中堅の時期にこの経験をし、考える機会を得ることができたとして前向きにとらえてみてもいいのではないでしょうか。
こういった経験により、一層「患者さんの安全」を考えられる看護師になったのに、看護師を辞めるという考え方は、少しもったいない気がします。
こういうトラウマを抱えて辞めてしまうと、次いざ働かざるを得ない状況が来たとしても、看護師として働けなくなってしまう可能性が高いと思うのです。
高齢者と手つなぎ歩行をしなければならないという状況は、看護師として働いている以上、どんなところでもありうる状況ですからね。
これから先どうするか、椿のアドバイスは2つ
椿のアドバイスというか、今後どうしていったらいいかという道しるべは、下記の2つとなります。
(1)今の病院の「指示」には、きちんと従うこと
いろいろ、お伝えしてきましたが、「患者本人と私が言ってることが軽度異なっている様子」というのも、椿が気になるところではあります。
認知症のレベルにもよりますが、家族は患者さんのいうことを信じたいでしょう。しかし認知症のレベルが高度であるほど、医療者のいっていることを信じる、ということもあり得ます。
また、軽度異なっているというのは、ゆんさんを擁護したような言い方なのか、卑下した言い方なのか、これによっても捉え方は変わりますね。
いずれにしても、これまでのゆんさんの働いてきた成果によっては、病院側がゆんさんを全面的に信用してくれるとは限りません。結果的に、ゆんさんがいくら「それは違う!」と主張しても、聞き入れられないことも、あるかもしれません。
「そのとき」を見ていた人がいないというのは、そういうことなのです。
しかし、患者さんに申し訳ないと消えたくなるくらい反省しているような心の優しい職員ならば、病院側も手放したくはないと思うんですよね。でも、相手も大人ですから本音と建て前は使い分けていると思いますし…
いろいろ、ややこしい状況であったとしても、結果的に病院側がゆんさんを擁護してくれるのなら、その処分には素直に従い、この先数年間は、病院に感謝しながら働きましょう。
そして、今回の経験を踏まえ、「患者さんの安全」に対して深く学び、それを啓蒙していってもいいかと思います。
それが病院に対する恩返しですよね。
(2)納得いかないなら、転職するのというのもあり。
もちろん、良くも悪くも、処分に納得いかないのであれば、転職をしてしまってもいいと思います。
ただし、喧嘩別れだけは、することが無いようにしましょう。
病院側と喧嘩になれば、圧倒的に不利益なのはゆんさんです。
これを契機に逆に訴えられてしまうということも、無くもないですからね。
病院を去ってしまえば、病院だってスタッフという身内のような存在から、ただの他人になるわけです。ゆんさんを守ってくれる立場ではなくなります。
ましてや、そのきっかけは、病院側ではなくゆんさん側にあるわけですから、ゆんさんに何かあっても、病院は痛くもかゆくもありません。
そんな状況ではありますが、ゆんさんが転職をしようとしたとき、転職候補の病院の上層部と、現在のゆんさんの病院の上層部が、知り合いでないとは限りません。
仮に、双方の病院のトップが知り合いであったとしても、自分の病院の採用試験を受けにくる看護師の、前職場での評判などを、こっそり情報収集することは、ゆんさんのプライバシーの侵害に該当する可能性もあります。
本来はそんなことで、採用の合否を決めてはなりません。
しかし、そういったことがまったく無いとも言い切れないほど、医療の世界って、狭い部分もあるのです。
こういったことも「あるかもしれない」と受け止め、もし、今の病院を退職するならば、揉め事を起こさず、静かにキレイに去るほうが、無難ではないかと思います。
(まとめ)これからは前を向いて歩こう
いずれにしても、自分のやってしまったこと、その結果患者さんに与えた影響は、真摯に受け止めてほしいと思います。
でも、思い悩むのはここまで。
この先は、二度とこういったことが起こらないよう、「どうすれば良かったか」を実践してください。
今は辛くても、ここを乗り越えることができたら、看護師として大きく成長するはずです。
そのためにも、患者さんの辛い顔、そして今、ゆんさんが抱えているその思いは、しっかりと胸に刻んで、良い意味で「忘れられない患者さん」として、胸に刻んでほしいと思います。