血管造影検査を受ける患者へのケア

血管造影検査を受ける患者へのケア【いまさら聞けない看護技術】
公開日:2013年5月25日
最終更新日:2013年5月25日
(変更日:2013年12月6日) ※

目的

  • 安全に血管造影検査を行えるように援助する

メリット

  • 手術をしなくとも動脈や静脈の血管の形を確認できる

デメリット

  • 動脈穿刺を行うため、CTやMRIよりも侵襲が大きい

検査前

  • 事前に抗血栓薬・抗凝固剤内服の有無や、ヨード系のアレルギーの有無を確認する
  • 動脈を穿刺時した際に出現する副交感神経反射に対し、アトロピンを使用する可能性があるため、前立腺肥大や緑内障などの既往の有無も確認する
  • 検査が開始する時間を考慮し、食事時間の調整を行う(必要時、食事を一回分中止する)
  • 医師に穿刺の有無と部位を事前に確認しておく

ケアの手順

  1. 検査の目的や手順、検査中は排尿ができないこと、検査後の安静臥床などについて説明し、同意を得る
  2. 四肢の末梢動脈を左右同時に触知し、それぞれマーキングを行う
  3. 必要であれば穿刺する部分とその周囲を除毛する
  4. 必要時、膀胱留置カテーテルを挿入する
  5. 輸液投与のため、血管確保を施行する
  6. 検査着に更衣する
  7. 患者の状態に合わせた方法で、検査室へ移送する

検査室入室後

  1. 検査室の看護師と共に声に出して患者情報の確認を行う
  2. 検査台に移動する際、ドレーンやルート類が誤って抜去しないようにまとめる
  3. 脳室・脳槽ドレナージ施行中の患者の場合、ドレーンをしっかりとクランプし、誤って抜去しないよう注意する
  4. 検査台へ移動後、ドレーンやルートの閉塞や屈曲の有無を確認し、安全を確保する
  5. 血圧計、心電図モニター、SPO2モニターを装着する

検査中(医師が行う)

  1. 穿刺部位周辺をドレープで覆い、穿刺部位をポビドンヨードなどで消毒する
  2. 局所麻酔を施行し、動脈穿刺を行う
  3. シースを動脈へ挿入し、シースを通しながら目的の動脈へ到達するよう押し進める
  4. 造影剤を注入後、撮影を行い、終了後、シースを抜去する
  5. 穿刺部位の圧迫止血を10~15分間施行する
  6. 止血用の圧迫綿とガーゼを穿刺部位にあて、圧迫しながらテープ固定する
  7. 患者の状態を確認し、問題がなければ検査時に使用した心電図モニターなどを外す
  8. ストレッチャーに全介助で移動し、病室へ戻る
動脈が触知困難な場合や、左右差が生じている場合、医師に報告をする

帰室後

  • 患者に、安静臥床の必要性と安静解除時間の予定について説明する
  • 皮下血腫が見られた場合は速やかに医師に報告し、マーキングで拡大の有無を観察する
  • 造影剤による副作用の出現を軽減させるため、検査後には水分を十分に摂るよう説明する
  • 膀胱留置カテーテルを挿入していない場合、床上排泄の介助を適宜行う
  • 安静臥床では体動制限があり、腰背部痛や上肢もしくは下肢の倦怠感を感じやすいため、適宜、体位変換を施行する
安静臥床中に食事や水分摂取を行う場合は、寝たままの状態でも摂取しやすくなるよう工夫が必要である

観察項目

  • 意識レベル
  • バイタルサイン
  • 穿刺部末梢の動脈拍動の有無
  • 穿刺した部位の痛み・出血・腫脹・皮下血腫の有無
  • 嘔気・嘔吐の有無
  • 呼吸状態

注意事項

  • 大腿からの穿刺を行った場合、腰背部痛が持続し、低血圧・頻脈を呈する場合は、後腹膜血腫を起こしている危険性があるため、速やかに医師に報告する
造影剤による副作用の中でも、アナフイラキシーは特に重篤化し、生命の危険もあるため、患者の訴え、バイタルサインの変化などを常に観察し、すみやかに急変対応ができるよう準備しておく
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