看護師不足の問題は日本で深刻な悩みでありますが、今や世界各国で看護師は不足している状況でもあるのです。
これはアジアの国々においても同様で、その中でも特に深刻なのが中国です。
ここではそんな中国の看護師不足の問題について見て行きたいと思います。
深刻な看護師不足
2009年時点、中国の医師数は約220万5000人で、看護師の数は約184万1000人。
理想とされる医師と看護師の比率は1:2~1:4といわれていますが、中国では何と200万人もの看護師が不足している計算になります。
世界保健機関の統計によると、人口1000人当たりの看護師数も、多くの国で3人以上存在するのに対し、中国では2009年時点でわずか1.39人で、深刻な看護師不足の状況が続いています。
日本とここまで違う!? 病院での対応
中国の看護師は、注射を打つ、薬を投与する等が主な仕事で、それ以外は家族が担うことになるといいます。
日本では病院に入院すれば医師や看護師に全てを任せ預ける事ができますが、中国ではそうはいかないようです。トイレに付き添ったり、身体を拭いてあげたり、寝返りをさせる事も家族が泊まり込んで行わなければならない病院がほとんどです。それだけ看護師が不足しているということであり、患者や家族の負担が大変大きいのが実情です。
経済的に余裕があれば看護助手を雇うこと事もできるようですが、基本的な医療知識を持っている人材が少なく、必ずしも万全のケアを受けることができるとは限らないのです。
厳しい労働環境
看護師の流動性が高くなってしまう原因として、長時間に及ぶ勤務や深夜勤務など病院の多様な勤務形態に慣れなければいけない、患者や家族から尊敬されない、時には患者から暴力をふるわれるといった厳しい勤務状況が指摘されています。
また、看護師は高い専門技能が必要な職業であるにもかかわらず、十分な福利厚生が無く、将来性も無い上に、中国では社会的地位もあまり高くありません。
病院そのものも中堅となる労働力が欠乏しており、経験の少ない若い看護師がほとんどだといわれています。
望まれる人材の育成と待遇の改善
都会の病院の常勤看護師は比較的良い待遇を受けているとされていますが、地方の看護師の現状は深刻なようです。パート看護師の給与は常勤看護師の半分程度で、経費節減のために常勤看護師をパート看護師に変更した病院もあったといいます。
多くの看護師は注射程度の仕事しかしていないのが現状で、このまま医療・看護に対する教育の促進や、待遇の改善等がなされなければ、専門知識・技術を持った看護師という存在は無くなってしまうとさえ懸念されているのです。
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