目的
- 呼吸異常を理解して急変の徴候を早期に発見
- 呼吸異常から重症度の判別につなげる
呼吸異常の把握
呼吸の異常を見逃さないポイント
- まずは患者の呼吸を数えた上で、視診、触診を行う
- 呼吸数・リズム・深さ、無呼吸を確認する
- 視診にて胸郭運動を確認する
- 聴診にて呼吸音の減弱を確認する
- 身体所見を確認する
- 顔色、冷汗、チアノーゼ、浮腫、樽状胸郭、頚動脈の怒張など
トリアージのStart法での緊急治療群
- トリアージでも呼吸の異常の判断は重要
トリアージタッグにおける赤(最優先治療群)とは
- 呼吸数が1分間に30回以上まで増加
- あるいは1分間に10回未満まで減少
- 呼吸音に左右差がある
- 呼吸様式に異常がある
- SPO2が90%未満になる
呼吸数が上昇する仕組み
- 一度の換気量が疾患により阻害されているため、必要量の換気を行おうとして、結果的に回数が増えている
- 身体の電解質のバランスが崩れているため、呼吸回数を増やすことで代償し、補おうとしている
呼吸数の異常から、重症度を予測
- 入院患者の呼吸回数が、1分間に27回以上 → 心停止が3.1倍 に増加
- 肺炎患者の呼吸数が、1分間に30回以上 → 死亡率が2.1倍 に増加
正常な呼吸
正常な呼吸とは
- 成人における正常な呼吸は、1分間に12~18回程度
- リズムは一定
- 一度の呼吸での換気量は体重1Kgあたり6~7ml
- 1分間に25回以上で”頻呼吸”
- 1分間に9回以下で”徐呼吸”
呼吸数と深さの異常
チェーン・ストークス呼吸
- 無呼吸と過呼吸を繰り返す呼吸
- 無呼吸がしばらく続いた後に頻呼吸を繰り返し、無呼吸になることが特徴
- うっ血性心不全の30%に合併する
- その他には脳血管疾患、腫瘍、髄膜炎、頭部外傷などの疾患でみられる
クスマウル呼吸
- 異常に早く深い呼吸が規則的正しく続く呼吸
- 身体がアシドーシスに傾いており、それを補うための代償性の呼吸
- 敗血症、尿毒症、糖尿病性ケトアシドーシスなどの疾患に見られる
ビオー呼吸
- 深さが一定ではなく、リズムも無秩序な呼吸
- 延髄が障害されることにより生じ生命の危機が示唆される
- 髄膜炎、脳出血、脳腫瘍などにみられる
アセスメント
基本的かつ重要な観察項目
- 呼吸回数・SPO2(90%を下回っていないか)
- 呼吸リズム、異常呼吸、努力呼吸の確認
- 呼吸音:気管支・肺胞音が減弱、消失していないか
- 左右差はあるか
- 呼気が延長していないか
- 酸素流量の濃度
- 身体所見、痰の貯留
- 鎮静剤の使用したかどうか
- 呼吸パターン
- 現在の疾患
酸素療法中にSPO2が低下した時
- 全身状態、呼吸状態が悪化した後になることが多いため、注意が必要
- SpO2の数値だけでなく、呼吸回数、フィジカルアセスメントなど、統合的な判断を必要とする
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